〜 混じり気なく伝え、そして表す 〜
#24 JAPAN CAFE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

JAPAN CAFE

 

坪数    : 23.1坪(客席7.40坪 / オープン厨房4.15坪 / クローズ厨房4.25坪 /トイレ0.52坪 / 共用部6.71坪 )

席数    : 17席

工期    : 3.2ヶ月

ご依頼内容 : デザイン / 設計 / ブランドディレクション / サイン

工事前状況 : 新築スケルトン

所在地   : Nieuwstraat 53, Arnhem 6811HV, the Netherlands
概要    :

 

オランダはアーネムにて、往年の日本のソウルフードを主力メニューに携えたカフェ【 JAPAN_CAFE 】のブランドローンチプロジェクト。

 

オーナーのご出身地である広島で地元紙に掲載される程有名だったというお父様の餃子。

その餃子にタコ焼きとおにぎりを加え、これらを ファスト/イージーという枠を出た “日本食” として昇華し、未知とするオランダ現地の方々に1つのコンテンツとして提供したい… という想いを基に、何年も温めておられたアイディアの具現化のお手伝いをさせて頂きました。

 

当初は現地デザイナーでの空間造りを企てていたものの、表現したい繊細なニュアンスの共有に限界を感じられ日本の空間デザインのマッチングサイトをご利用。

そこでユサブルデザインを見付けて頂いた訳ですが、オンラインのみでそのニュアンスをカタチにする責務を負いきれるのかの迷いがありました。しかし現場監督を自らでされる覚悟の施主さまに呼応するカタチでこちらも腹決め。

 

首都アムステルダムから南東へ100㎞、特急列車で1時間程揺られると到着するターミナル駅 “ Arnhem(日本語読みはアーネムもしくはアルンヘム)” 。

ゴッホ作品で有名なクレラー・ミュラー美術館始め、市営の大きな博物館や公園を有し、国際河川であるライン河が脇を流れる。

自然とアートが共存し学生も多い街で、再開発時に新しい美術館設立の候補地にもなっていた様なエリア。

そんな恵まれた環境に親和性を感じられ、ここをブランド発祥の地と決められました。

 

その地にてブランドとして生み出すべき場の在り様として

◯ 余白があり、凛とした空気を纏わせる

◯ 細部への留意による繊細さの醸出

◯ コントラストとしての綱材類のバランス

◯ 最後に設置される日本の古い調度品を、エッセンスとして受け止めれる土台

◯ 気を遣わせないアットホームな接客スタンスが軽いギャップとなる様な空間

これらを据えてプランを構築しました。

 

ダイレクトに“和”を表す、和空間を創る… ではなく いかにして内面的な“和の心”を滲み出せるか… が今回の肝だった様に思います。

 

 

オーナーは元々国家予算を割いて行われる歴史の研究に永く携わられた学者さん。すこぶる造詣が深く 何につけても理解が早いし何でも聞いて調べて吸収。やはり“学び”が習慣化されてる人は強い。

加えてそもそも感性のアンテナが高く、ご自身でインテリアやビジュアルの目利きが出来てしまう。

オランダでは、日本の工務店に似た役割として“Aannemer(アーネマー)”というポジションがあり、案件毎の工程管理や職人の手配等を行うそう。しかし長い建築ブームの渦中にある現地において、なかなか適任が見付からない事からご自身で請け負う事を決意。

デザイナー / 設計士 / 施工業者 / 職人 / 建材屋 等の人員調達始め 家主との工事区分の調整から工程表の作成に現場管理…と店づくりに纏わる全てのオーガナイズからマネージメントまでを“施主”であり“親方”であり“現場監督”、時に“職人”として統率。

 

・ゼロからプロジェクトの施工メンバーの全てを確保

・全ての材料を現場に足を運んで目で見て触って選定

・足りない材料や道具はプロ資材屋で調達

・塵を抑え、漆喰を塗り、鉄を磨き、全ての壁に念を入れる

・是正箇所は資材手配してタッチアップや補修を施す

・不都合が起きればデザイナーに相談と確認

 

これらの文章の頭に“自ら”が付く。

 

本プロジェクトのMVPは間違いなくオーナーご本人。

 

現場で、ややこしい作業を文句言いながらも楽しんで解決策を編み出す職人さん達。
今回で初めて出会ってる筈なのにそういう方々が脇を固めているのは、引きの強さからなのか、そうしてあげたくなる人柄だからなのか… 現場の空気感は判らないけど何故か大方上手く回ってた。

また、私が設計監理を進められたのは、現場からの適切な報連相を貰えたからに他ならない。

 

上記は空間創りに関しての事柄についてだけなので、当然コレらに 資金/物件/スタッフ/メニュー/ビジュアル/広報 等の開発業務があり、それらも全てお一人で手掛ける。

営業面では店長兼シェフとして、接客して調理して面接してシフト組んでSNSの発信をする。

 

コレがまた女性ときてる。
スーパーです、スーパーウーマンです。

 

半端なく大変なミッションをやり遂げたこの時間は、ブランドとしての原体験と成りこの先のブランディングの強靭な源泉となる事でしょう。

 

 

空間の多くを占める客席上部にそれをセグメントする役割も兼ね、下地材を面取りした組み木を。全体のバランスと天高を考慮し余り頭上からの圧が強くなり過ぎない様に、また和装飾としての主張が強くなり過ぎない様に 抑えめの30角材を採用しています。

 

躯体壁は既存に防塵目的のCL塗装仕上げ。日本のモノよりやや白く有機的な色味がうまい具合に空間コンセプトを助長してくれていると感じています。

 

ニッチ棚を有した正面の造作壁は漆喰。インダストリアル+木工のトレンド空間を基盤としながらも、ブランドのアイデンティティに出来る何らかの柔らかさをここにしたためてます。ニッチの出隅には大きめのRを付け入隅は角残しにしてホッコリ加減を調整、仕上げの漆喰の揺らぎと相まって静寂さと幻想感を醸し出せたかと思います。

 

入り口から奥まで通るカウンター。お店の顔の1つであるココは工程や予算の煽りを受けてかなりの難産だった奇跡の産物。
腰には元来は床下地として使われるリブ綱材を意匠として。こんなのが資材屋で幾らでも売られてるのは羨ましい限り。亜鉛メッキのギラつきと品のあるリブのピッチ、そのリブに付いた僅かなR… コスト面も含めて即採用を判断。
また天板には今度は壁用の下地材を。良いのは色目と杢目だけでそもそも天板に使える強度と耐水性は無いモノを、ウレタン樹脂やらレジンやらのコーティング手段を現地で試行錯誤してなんとか天板として使える様に仕上げて貰ったモノ。
下手に磨いてツルツルにせず、平らではあるけれども素材感が残る仕上げとしています。

 

ブランドカラーのブルーを携えたカウンター背面壁は全てスチールパネル貼り。
突き付け部に小さなRを生む様にt1のステンレスをMDFに4方から巻き込み、シルバー素地のモノは何とお施主さんによるバイブレーション仕上げ。真っ黒になりながら初めて触るランダムサンダーで磨きに磨いて頂きました。
前出の漆喰面にも言えますが、手掛けによる想定し得ない独自の陰影がこの空間における “底の知れなさ” を捻出している様に感じています。

 

 

初回のWeb面談から約10ヶ月。

プラン段階でのおよそ40回に及ぶオンラインミーティングとご帰国時の1回の対面ミーティング。

工事が始まってからは現場からの随時での連絡にシフト。

コレまでと違い 現場監督/作業員として接するフェーズに。
細部への拘りを要求する事に自覚なく躊躇していたのを序盤の序盤で指摘されて以降、遠慮なくぶつけさせて頂きました。
工事終盤の仕上げの工程では昼夜を問わず 学生時分の文化祭の準備の時みたく頻繁なやり取りを。

 

ありがたい事に デザイン/クリエイション に対する強いリスペクトをお持ちな為、勝手に進めれそうな箇所でも必ず確認を受けました。
勿論それによりやり取りは膨大に膨れ上がっていくんだけど、そうでもしないと この妥協の無い空間創りに至れなかった。
改めて最大の感謝をここに記します。

 

 

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コンテンツ過多な現代において、事業成功の為の重要資源として見直される“想い”という無形資源。

理屈と、理屈ではない“想い”が高い次元で融合された本プロジェクトに帯同させて頂き、勇気を貰うと共に改めて背筋が伸びる思いでした。

 

想像を高解像度で創造されたこの場から発信される、優しくも強い価値基準が多くの人の心を震わせる事を強く願います。

 

 

 

施工管理  :GRIJZE INTERNATIONAL B.V.

照明計画  :西野照明デザイン事務所

電気    :Jurus Elektrotekniek

漆喰左官. :Boost Werkt B.V.

金物    :Fons Snelder Kunstwerken/ Ljipke Ontwerpbedrijf

現場造作  :Fons Snelder Kunstwerken/ Ljipke Ontwerpbedrijf

家具/什器 :bram & eefje meubleontwerp en maatwerk

 

撮影    :Kaori Maekawa

 

 

 

20260718竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

 

spec:W824

          H1050

          D518

 

撮影:臼井淳一

 

 

 

 

 

 

spec:W421

          H630

          D518

 

撮影:臼井淳一

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

spec:W350

          H450

          D350

          w6,400g

 

撮影:臼井淳一

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BAR_EMETH(エメト)
 
坪数    : 6.4坪(トイレ:0.40T / キッチン:1.66T / 客席:4.37T)
工期    : 1.2ヶ月
ご依頼内容 : 空間デザイン / 設計 / 施工 / 厨房設備 / ブランドディレクション
工事前状況 : BARの居抜き
所在地   : 大阪市中央区
 
概要    :
 
今や関西屈指のインバウンドの街 大阪心斎橋。
 
大動脈である心斎橋筋商店街を駅から南に行ってすぐの横丁『しんぶら街』。
平日でもとんでもない数の通行人が行き交い 色んな言語が飛び交うその筋を クッと折れただけで嘘の様な静けさが漂う袋小路。
恐らく昭和の開業時から存在すると思しき着物屋さん数軒と平成以降で入れ替わった飲食店や物販店など20弱の店舗が立ち並ぶ。雰囲気としては極端にコンパクトにした船場センタービル。
何十年大阪に居ても知る人の方が少ないであろうその『しんぶら街』の最奥2階にこのオーセンティックバーは存在します。
 
研究職に就いてられた若いお施主さん。お父さまを亡くされた事を機にバー開業の準備に大きくシフト。
この場を気に入られ 物件を押さえつつ空間デザインと施工業者の選定、作家さんへのキービジュアルの発注や事前の名刺の手配 などを実に粛々と確実に進める様は、ホントに初めてなの?と感じる程でした。
 
ここが心斎橋である事を忘れそうなユニークなロケーションとはいえやっぱり都会のド真ん中。
外国人観光客だけで十分商売出来てしまうであろうとしても、『しっかりと根を生やしてじっくりやりたい』と言う言葉の通り、当初からのご希望は “木目調のシックで落ち着いた雰囲気のお店” でした。
 
BARにお勤めの経験はお持ちでないながらも、お父さんがきっかけで『酒』に興味を持たれて以降 多種多様なお酒を体験し、各地の名店を訪れたり稀少酒目当てに足を伸ばされたり。
良いお酒/良いお店 を求める活動が自然とルーティン化されるに留まらず、人にお酒をつくって提供する行為もお知り合いのお店で何度か展開したワークショップにて経験済み。
お酒を文化として捉え、知ろう 学ぼうとするその姿勢は “流石のエンジニア気質” と感じざるを得ない。
その行動力と探究心でもって凄い早さで趣向を深めて来られたであろう事も想像に難しくない。
加えてインバウンド対応に困る筈がないレベルの語学力まで携えてらっしゃると…
 
『こういう人は強いわ…』と感じ 安心してご希望のお店を作らせて貰う事に集中できました。
 
 
元々がBARの居抜き。
だけどコンセプトやイメージしている営業スタイルを表現する為にほぼ全てを解体。
隠されていた梁を表しにし、屋根裏部屋の様な環境を丸まま受け入れる方向でプランを進めました。
天井の低さ故 お店の濃度を感じさせる距離近めのほっこりが感がベースになりつつも、常連客と新規客/観光客が違和感なく同居出来る一定のニュートラルさ をいかにして表現するかを課題として取り組みました。
 
ラワンベニヤを増し貼りした壁をFL800で塗り分け、既設する有機質な腰上と無機質っぽく見せた腰下とを上下でドッキングさせた様な空間構成としました。
と言うのも、事前に決めておられた屋号“EMETH”とはゴーレムを呼び起こすワードのとの事。
その土の塊の感じや四角いブロックで形成されたゴツゴツ感を取り入れる事から着想。梁上の壁を骨材を入れた珪藻土調の塗装にしているのもそれが起因しています。
 
お父さまのご生前は外出先でも何度かお酒を飲み交わした事もあったというお二人。
世の中的に実は稀なハズのこの行動は当人達としてはナチュラルだったと言います。なんとも親孝行というか子孝行というか…
一番身近な同性の先輩である『オヤジ』から多くを譲り受けたであろう関係。家ですら一緒に飲んだ事のないまま父親を亡くした私にすれば今となっては羨ましいでしかない。
仕上がった現場に佇みながら
“ ご存命ならどんな風にこのカウンターで飲んだろう… ”
なんて少しおセンチになってしまいました。
 
これから様々なお客さんに お酒をふるまう日々の中で、オーナーさんもふと想う事もあるかと思います。その時お父さんはきっとこう言います
 
“よくやったな うまいよ”
 
 
 
施工  :BOTTCH
照明  :西野照明デザイン事務所
厨房  :タウンタウン
移動家具:アスプルンド
 
撮影  :臼井淳一
 

20250903竣工

 

 

 

 

業態:焼肉店

 

店舗のデザインも任せて頂いた真心さんのロゴ。

 

書道の ハネ/ハライ を感じさせるタッチと 店内に採用のビニールカーテンを模した “ 心 ” にて店舗デザインの『和とインダストリアル』を反映、それぞれを太めの線にし焼肉の力強さの表現しています。

 

無理なく読めるギリギリまでオブジェクトを減らして今っぽさとユニバーサルな雰囲気を出しつつも、最後はセリフ体の英文字でちゃんとした感を足して全体を締めています。

 

大阪市中央区

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
 

焼肉『 真心 』

 
 

坪数    : 15.1坪(エントランス0.6坪 / 客室10.1坪 / 厨房3.1坪 / トイレ0.7坪)

工期    : 4.0ヶ月

ご依頼内容 : デザイン / 設計 / 施工 / 厨房設備 / ブランドディレクション / グラフィック / ロースター設備

工事前状況 : 焼き鳥店居抜き

所在地   : 大阪市中央区

 

概要    :

 

大阪市内で焼肉店を複数展開する有名店にて経験を積んでこられたお施主さん。

実はこちら、御母方の郷である徳島にて 叔父さんが牛舎を お母さんが精肉店をそれぞれ営まれる 言わば “牛ビジネスの申し子”。

兼ねてから いずれは大阪で焼肉店を…と、お母様を中心に出店に向けてバックアップを続けてこられたとの事。

10年という区切りで修行期間満了とし、いよいよ皆の夢を背負って独立開業… のお店づくりに抜擢頂きました。

 

数件の物件を案内/同行させて頂きました。

1オペが似合う10坪前後のコンパクトで低家賃の物件が本命かと思いきや、結局メトロの駅から徒歩3分 谷町筋沿い15坪のこちらの物件に。

超一等地とまでは言わないまでも、個人事業主が開業時に借りる様なトコロじゃない…

“良過ぎる…” とか “贅沢…” とかの類の意見をお伝えしましたが、ご一族としての決断はココ。

でもよく考えるとこのチームはある意味個人事業主では無い… チーム?そうか、チームなんや… なんて風に腑落ちしました。

元が焼き鳥店でインフラが十分な事、造作譲渡の費用が格安だった事、お住いから近い事。それ等のアドヴァンテージもあって、ココを拠点としたプロジェクトが動き出しました。

 

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会社も世帯数も多いこのエリアで開業する焼肉『真心』のターゲットとしては

・仕事終わりの会食

・近隣にお住まいのファミリーやカップル

・落ち着いて独り焼肉したい方

・接待   …etc

 

お店のコンセプトに掲げられた【A5A4のブランド牛(阿波牛)が中心でホスピタリティーも高めだけど そんなに構えないで使える親しみやすくてナウい焼肉店】

恵まれた背景を活かし、空堀近辺で焼肉やったらココ!って店にするには…

 

これらの情報を源泉に構築したインテリアデザインのコンセプトは、

和とインダストリアルのはっきりとしたギャップを創り、それらをスタイリングでもって魅せる…としました。

ファッションで言うとそれなりにデザインされた物同士を合わす ではなく 本物のフライトジャケットにコレクションブランドの無地スカートを合わす的な… 単品ではなくコーディネイトでもって主張する言わば上級者コーデ。

外食産業の絶対王者『焼肉』。多少は従来のリュクス感/ギラギラ感も醸し出したいし、シズル感も令和水準のユニバーサル感も欲しい。それ等を『真心』のコンセプトでフィルターを掛けた結果、難易度は高いけど上記でもって表現する事にしました。

 

和装の土台となる櫓(やぐら)組みや壁の木工造作は4or5.5mmのラワンベニヤの突き付け仕上げ。

柱と梁も集成材をラワンで覆い出隅の留め加工にて木口を隠蔽。節のない無垢の柱材に見せています。

『経年劣化を味わえる良質な空間づくり』と『費用を抑える』を両立させる為に職人さんには苦労して貰っています。

和装のあしらいは、すっきり見える様に各所のチリは浅めに。

客席の照明は梁に内蔵させ、極力照明器具の存在を消す事に留意しています。

同じ木工でも、テーブルの天板やベンチ・カウンター台などの家具類はベニヤ材の積層木口を活かした少しカジュアルな格好にして、全体が重くなり過ぎない様にしています。

カウンター席の椅子は前々から温めていた企画を採用。脚を含む全てをベニヤ材で構成した積層木口活かしの仕口仕上げ。面材のみで形成したことによる “微妙な違和感” が上手く出ている気がしています。

 

相対する金物造作は 天井にケーブルラック・壁にLGS・床にはメッキ鋼板 とこちらもテンコ盛り。

客導線を覆う格好でDLを併設したケーブルラックを設置。スケルトンにした事で確保出来た筈の天高のノイズになり得たH900の大梁。その存在を適度に去なす…という事を今回のコンセプトの中で上手く消化出来たんじゃないかと感じています。

外壁/間仕切り格子/厨房開口袖壁 はLGSスタッド。この空間で一番記憶に残る仕上げ材ではないかと。ここには 訪問者が他所で『〇〇の店やろ?』と形容したくなる様なアイコニックな何かを…という思いも込められています。

近未来的で重厚な雰囲気の床材は450角の溶融亜鉛メッキ鋼板。空間の印象付けという意味では恐らく一番の役割を担っているかと。歩行により自然に入る小さな擦りキズで少しずつ曇っていく経年劣化を楽しみます。

『一定のプライバシー』と『同じ空間を共有しているという一体感』の両方を担保したい。その店内のプライバシーコントロールには工業用ビニールカーテンを採用。

クリアオレンジと電球色の光源とが相乗して生まれるより暖色になった灯り。それが本来冷たい印象の鉄材達を照らし、独自の空気感が店内を包みます。『〇〇の店やろ?』はこっちかも^^;

 

エントランスの赤石は本来の『厄除け』という意味合いよりも『肉塊』をイメージしたオブジェとして。

徳島の阿波牛という事で同産地の赤石をかなり探しましたが見つからず、No.1産地である三重産をチョイス。

ファサードからも覗けるレジ前の盆栽は “withers” によるもの。枯れた盆栽を天然物のみで意匠再生して水やり不要なオブジェへ転換。その技術もさることながらその着想や行為に共感。今回のコンセプトとの共通性を感じ採用させて頂きました。

内部インテリアの書は神戸の書道家“Rie”さん。インテリアの主旨やプロジェクトリーダーであるお母さまのイメージを共有させて貰った上で主に “動き” “勢い” をテーマに描いて頂きました。

 

現場は昭和40年代築の物件。

解体を始めると この50年で上塗りする様な業態変更を何度も繰り返してきた痕跡が… この際だからハードリセットするつもりで挑むも、想定外に次から次へと現れる不要な設備。全て残置の居抜き状態だった事もありますが 頂いた工期のうち結局丸々1ヶ月が 解体/撤去に奪われ、なかなかドキドキでしたが何とか予定通りで収まりました^^;

 

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いつもデザインを考える際は『高級 ↔︎ 大衆』『伝統性(トラディショナル)↔︎ 時好性(トレンド)』を頭の中でXYグラフをイメージ。事業のコンセプトをお聞きしてそのどこにポジショニングさせるかを最初に決めます。

また『そのデザインによってお店のメッセージを正しく伝え、それをキャッチした人がアクセスし易いルックスにする』…という事も決めています。

今回で言うと『少し高級で少しトレンディー』というトコロを狙った上で、そのシチュエーションに遭った殆どの人に “ココを使ってみたい!” と思ってもらえるデザイン… を目指しました。

 

大阪市内の便利な場所に在るお店だけに、私含めお店づくりを担った人間は自ずと使わせて頂く事になるかと思います。

この 木の温かみと鉄の冷たさの大きな振り幅が特徴の焼肉店『真心』。この場がそれこそ幅の広い人達に長く愛され、徳島に多くの利を返せるお店に成る事を願います。

 
 
 

施工  :内山大樹(ハナケン)

照明  :西野照明デザイン事務所

電気空調:一粒万倍

塗装  :KCR

厨房  :タウンタウン

客席器具:シンポ

金物  :マーサーステンレス

移動家具:万年青家具製作所

装飾  :小西康太(segno)

暖簾  :花月堂

植栽  :withers

書   :Rie

 

撮影  :臼井淳一

 

20250324竣工

 

 
 
 

 

 

業態:立ち呑み店

 

店舗デザインを任せて頂いた押上さんのロゴ。

 

誰かの背中を押せる様な場にする為に作られたお店…
とはいえ何でもかんでも首を突っ込んで急き立てるという訳ではなく、あくまで訊く側であり ココで良ければ話してってくださいという受け身スタンス。

このコンセプトを表現するために『押上』という力強い言葉と相反する柔らかさと、お店を出る時はなんだか気分が上がってる…みたいな少しの高揚感をしたためました。

 

ぽってりさせた太めの線でシンボルを構成し、文字体には “控えめで誠実/芯の強さ” という意味合いを込めてフォント選定をしています。

 

大阪市城東区

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

串揚げ・煮込み『 押上(オシアゲ) 』

 

坪数    : 5.9坪(客室2.8坪/厨房2.5坪/トイレ0.6坪)

工期    : 3.5ヶ月(貸主側雨漏り補修工事期間含む)

ご依頼内容 : デザイン / 設計 / 施工 / 厨房設備 / ブランドディレクション / グラフィック

工事前状況 : 現状復旧跡のセミスケルトン

所在地   : 大阪市城東区

 

概要    :

 

大学進学で愛知から京都に移られ 在学期間中に体現された関西の飲食店の温かさに “いつか自分も関西で店を持ちたい!”と心に決められたお施主さん。

 

卒業後はご出身地に戻り 有名飲食店で数年修行されたのちに開業資金確保の為に転職。ある程度目処がついた段階で在職しながら出張ベースで物件探索と内装業者選定… の際に接点を持たせて頂きました。

 

お話をお聞きして伝わってくる 夢の実現の為の行動力や計画性の高さと “人生一回っきり / 何事もやってみないと判らない / 自分が納得できる人生を” というコメントから垣間見える強いチャレンジ精神。だけど立ち居振る舞いは極めて謙虚でらっしゃる。

このバランスにヤラれ初めて、『僕に作らせてください!』って言わされちゃったお客さん。

 

2度目の大阪出張時に内覧された本物件を気に入られ 作図と見積りを急ぐも肝心の融資の目処がつかないまま不動産側の都合に譲歩し、先に物件契約。

それ程までにモノにしたい場所という事なんだけど、既に家賃が発生している状況下で思いのほか難航する資金調達。余儀無くされる着工遅延と工期の延滞。

 

長い時間を要しましたが、お施主さんはじめ皆の労が奇跡的に報われ無事完工を迎えることが出来ました。

 

 

この現場は大阪城東区の今福東。

 

お年寄りが多い街ながら 人口も世帯数も事業所数も増え続けている上向きな町。

国道1号線が府道8号(鶴見線)へと名を変える蒲生四丁目の交差点から西へ少し。

その鶴見線から1ブロック南下した角地にある鉄骨造の単独平屋。

 

元が餃子が売りのラーメン屋さんだっただけに 引き込まれているインフラも十分(グリーストラップだけ何故か無かったが)。

飲食店を開業する環境として絵に描いた様なロケーション。

先に物件を押さえたくなっちゃうのも十分理解出来る、そんな場所。

 

構想される業態は串揚げと煮込みを主とした居酒屋。

ただ坪数や区画の形からすると座席を設ける事が困難でカウンターのみのスタンディングにしか出来ない。でも愛知では立ち呑み文化がほぼ皆無との事で 当初悩まれていました。

追って大阪の飲食市場をリサーチ。そもそもその文化が定着している事や改めてトレンドに成っている事を認知され業態のシフトをご判断。

 

お施主さんのご要望とお人柄 そして街柄を考慮し デザインコンセプトを『昭和の和装な令和のスタンド』としてプランを進めました。

古臭い立ち呑み屋然としたイメージをベースに 一定の今っぽさは感じる…というトコロを狙いました。

 

なかなか無いであろうサイズ感のテントはフレームを残し既存を撤去。 出入口とテイクアウト部の必要な箇所だけ新規で張り直し。

外部のぼけたピンクがかった吹き付け塗装も既存。狙って出せる色じゃないし妙に雰囲気を感じたもので。

予算とは関係無く 既存活かしの箇所を意識的に確保し、歴代の入居者と古い街へのリスペクトも表したつもりです。

 

建具含む木工仕上げは全てラワン。

設置箇所に応じて合板と無垢とを使い分けています。

 

建具のガラスをモールガラスに。

ほぼパノラマな見え方になる店内のプライバシー確保という意味合いと、懐かしさやホッコリ感の演出とを兼ねています。

 

のちに展開予定のテイクアウト用に厨房直結の小窓を設置。

和装なデザインに折れ窓はいかがなものかとも思いましたが  “動き” を足した方が良いという判断で上げ下げ窓ではなくこちらに。

 

カウンター天板はt30のラワン合板で木口部は2枚貼りで厚みを持たせています。

ここは今っぽさより既視感・安心感を優先しています。

 

店内外に見えてくる欄間は高さ関係を統一して この店舗のデザインと設計上の一つの基準としています。

ファサードの垂れ壁からトイレ開口まで繋がったこのラインが生み出すカクカク感が なんとなくの今っぽさを醸し出してくれていればなぁと思うトコロです。

 

モルタルで仕上げたカウンターの腰壁の足元には 目地ナシで並べたブロックの上に踏み板を設置した足掛けを。

これは来店者がなるべく楽に飲食できる様にカウンター側に体を預け易くする…という事、またそれによって自然とトイレ導線が確保される という二次効果を狙っています。

 

ほぼ木工と左官で仕上げた空間にデザインコンセプトの範疇内で何かエッセンスになるテクスチャを… という意味で客席奥入隅にウロコ調ガルバリウムを割り付けた壁を。

恐らくココは店内で一番衣服が擦れ易い箇所であろうという事も兼ねての選択です。

 

正面右のメインのサイン上部にはオリジナルのポーチライトを。

軒先に佇む門番としての地味で物言わぬ愚直さ… みたいなものを表してみました。

 

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多くのリスクを承知で他府県から転居しての開業。
“ 誰かの背中を押したい ”という意図のもと 創られたこの場の名は『押上』。

 

ここには 当時勇気をくれた 関西の飲食店のあの雰囲気をいつか提供する側になりたい そういう場にしたい という想いが込められています。

 

この場で後押しされた誰かが、また違う誰かの背中を押す…

そんなロケット鉛筆みたいな好循環がここから生まれれば素敵だなと思います。

 

 

 

施工  :内山大樹(ハナケン)

照明  :西野照明デザイン事務所

電気空調:一粒万倍

塗装  :KCR

厨房  :タウンタウン

金物  :マーサーステンレス

テント :大谷テント

提灯  :花月堂

装飾  :小西康太(segno)

 

撮影  :臼井淳一

 

 

20240831竣工

 

 

 

 

業態:日本食レストラン

 

移転改装に際してのリブランディングの一環として、ロゴを作成させて頂きました。

 

お若いオーナー率いるお若いチームが運営する飲食店である事、オリジナル商品の物販はじめ グラフィックにも趣向の強いお店である事、それ等をを醸し(かもし)出す…に留意しました。

 

『漠』を読めるギリギリまで図形化しさまざまな媒体への転用に映える様にしています。

シンボルをグラフィカルにした分、文字体はスッキリとさせ 全体としてユニバーサルデザインに落とし込んでいます。

 

現地ではまだこういうデザインが余り無さそうで 良い具合に目を引いてくれるんじゃないかという見立てから着想しています。

 

スービック/フィリピン