焼肉『真心』
ロゴ

 

 

業態:焼肉店

 

店舗デザインを任せて頂いた真心さんのロゴ。

 

書道の ハネ/ハライ を感じさせるタッチと 店内に採用のビニールカーテンを模した “ 心 ” にて店舗デザインの『和とインダストリアル』を反映、それぞれを太めの線にし焼肉の力強さの表現しています。

 

無理なく読めるギリギリまでオブジェクトを減らして今っぽさとユニバーサルな雰囲気を出しつつも、最後はセリフ体の英文字でちゃんとした感を足して全体を締めています。

 

大阪市中央区

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
 

焼肉『 真心 』

 
 

坪数    : 15.1坪(エントランス0.6坪 / 客室10.1坪 / 厨房3.1坪 / トイレ0.7坪)

工期    : 4.0ヶ月

ご依頼内容 : デザイン / 設計 / 施工 / 厨房設備 / ブランドディレクション / グラフィック / ロースター設備

工事前状況 : 焼き鳥店居抜き

所在地   : 大阪市中央区

 

概要    :

 

大阪市内で焼肉店を複数展開する有名店にて経験を積んでこられたお施主さん。

実はこちら、御母方の郷である徳島にて 叔父さんが牛舎を お母さんが精肉店をそれぞれ営まれる 言わば “牛ビジネスの申し子”。

兼ねてから いずれは大阪で焼肉店を…と、お母様を中心に出店に向けてバックアップを続けてこられたとの事。

10年という区切りで修行期間満了とし、いよいよ皆の夢を背負って独立開業… のお店づくりに抜擢頂きました。

 

数件の物件を案内/同行させて頂きました。

1オペが似合う10坪前後のコンパクトで低家賃の物件が本命かと思いきや、結局メトロの駅から徒歩3分 谷町筋沿い15坪のこちらの物件に。

超一等地とまでは言わないまでも、個人事業主が開業時に借りる様なトコロじゃない…

“良過ぎる…” とか “贅沢…” とかの類の意見をお伝えしましたが、ご一族としての決断はココ。

でもよく考えるとこのチームはある意味個人事業主では無い… チーム?そうか、チームなんや… なんて風に腑落ちしました。

元が焼き鳥店でインフラが十分な事、造作譲渡の費用が格安だった事、お住いから近い事。それ等のアドヴァンテージもあって、ココを拠点としたプロジェクトが動き出しました。

 

 

会社も世帯数も多いこのエリアで開業する焼肉『真心』のターゲットとしては

・仕事終わりの会食

・近隣にお住まいのファミリーやカップル

・落ち着いて独り焼肉したい方

・接待   …etc

 

お店のコンセプトに掲げられた【A5A4のブランド牛(阿波牛)が中心でホスピタリティーも高めだけど そんなに構えないで使える親しみやすくてナウい焼肉店】

恵まれた背景を活かし、空堀近辺で焼肉やったらココ!って店にするには…

 

これらの情報を源泉に構築したインテリアデザインのコンセプトは、

和とインダストリアルのはっきりとしたギャップを創り、それらをスタイリングでもって魅せる…としました。

ファッションで言うとそれなりにデザインされた物同士を合わす ではなく 本物のフライトジャケットにコレクションブランドの無地スカートを合わす的な… 単品ではなくコーディネイトでもって主張する言わば上級者コーデ。

外食産業の絶対王者『焼肉』。多少は従来のリュクス感/ギラギラ感も醸し出したいし、シズル感も令和水準のユニバーサル感も欲しい。それ等を『真心』のコンセプトでフィルターを掛けた結果、難易度は高いけど上記でもって表現する事にしました。

 

和装の土台となる櫓(やぐら)組みや壁の木工造作は4or5.5mmのラワンベニヤの突き付け仕上げ。

柱と梁も集成材をラワンで覆い出隅の留め加工にて木口を隠蔽。節のない無垢の柱材に見せています。

『経年劣化を味わえる良質な空間づくり』と『費用を抑える』を両立させる為に職人さんには苦労して貰っています。

和装のあしらいは、すっきり見える様に各所のチリは浅めに。

客席の照明は梁に内蔵させ、極力照明器具の存在を消す事に留意しています。

同じ木工でも、テーブルの天板やベンチ・カウンター台などの家具類はベニヤ材の積層木口を活かした少しカジュアルな格好にして、全体が重くなり過ぎない様にしています。

カウンター席の椅子は前々から温めていた企画を採用。脚を含む全てをベニヤ材で構成した積層木口活かしの仕口仕上げ。面材のみで形成したことによる “微妙な違和感” が上手く出ている気がしています。

 

相対する金物造作は 天井にケーブルラック・壁にLGS・床にはメッキ鋼板 とこちらもテンコ盛り。

客導線を覆う格好でDLを併設したケーブルラックを設置。スケルトンにした事で確保出来た筈の天高のノイズになり得たH900の大梁。その存在を適度に去なす…という事を今回のコンセプトの中で上手く消化出来たんじゃないかと感じています。

外壁/間仕切り格子/厨房開口袖壁 はLGSスタッド。この空間で一番記憶に残る仕上げ材ではないかと。ここには 訪問者が他所で『〇〇の店やろ?』と形容したくなる様なアイコニックな何かを…という思いも込められています。

近未来的で重厚な雰囲気の床材は450角の溶融亜鉛メッキ鋼板。空間の印象付けという意味では恐らく一番の役割を担っているかと。歩行により自然に入る小さな擦りキズで少しずつ曇っていく経年劣化を楽しみます。

『一定のプライバシー』と『同じ空間を共有しているという一体感』の両方を担保したい。その店内のプライバシーコントロールには工業用ビニールカーテンを採用。

クリアオレンジと電球色の光源とが相乗して生まれるより暖色になった灯り。それが本来冷たい印象の鉄材達を照らし、独自の空気感が店内を包みます。『〇〇の店やろ?』はこっちかも^^;

 

エントランスの赤石は本来の『厄除け』という意味合いよりも『肉塊』をイメージしたオブジェとして。

徳島の阿波牛という事で同産地の赤石をかなり探しましたが見つからず、No.1産地である三重産をチョイス。

ファサードからも覗けるレジ前の盆栽は “withers” によるもの。枯れた盆栽を天然物のみで意匠再生して水やり不要なオブジェへ転換。その技術もさることながらその着想や行為に共感。今回のコンセプトとの共通性を感じ採用させて頂きました。

内部インテリアの書は神戸の書道家“Rie”さん。インテリアの主旨やプロジェクトリーダーであるお母さまのイメージを共有させて貰った上で主に “動き” “勢い” をテーマに描いて頂きました。

 

現場は昭和40年代築の物件。

解体を始めると この50年で上塗りする様な業態変更を何度も繰り返してきた痕跡が… この際だからハードリセットするつもりで挑むも、想定外に次から次へと現れる不要な設備。全て残置の居抜き状態だった事もありますが 頂いた工期のうち結局丸々1ヶ月が 解体/撤去に奪われ、なかなかドキドキでしたが何とか予定通りで収まりました^^;

 

 

いつもデザインを考える際は『高級 ↔︎ 大衆』『伝統性(トラディショナル)↔︎ 時好性(トレンド)』を頭の中でXYグラフをイメージ。事業のコンセプトをお聞きしてそのどこにポジショニングさせるかを最初に決めます。

また『そのデザインによってお店のメッセージを正しく伝え、それをキャッチした人がアクセスし易いルックスにする』…という事も決めています。

今回で言うと『少し高級で少しトレンディー』というトコロを狙った上で、そのシチュエーションに遭った殆どの人に “ココを使ってみたい!” と思ってもらえるデザイン… を目指しました。

 

大阪市内の便利な場所に在るお店だけに、私含めお店づくりを担った人間は自ずと使わせて頂く事になるかと思います。

この 木の温かみと鉄の冷たさの大きな振り幅が特徴の焼肉店『真心』。この場がそれこそ幅の広い人達に長く愛され、徳島に多くの利を返せるお店に成る事を願います。

 
 
 

施工  :内山大樹(ハナケン)

照明  :西野照明デザイン事務所

電気空調:一粒万倍

塗装  :KCR

厨房  :タウンタウン

客席器具:シンポ

金物  :マーサーステンレス

移動家具:万年青家具製作所

装飾  :小西康太(segno)

暖簾  :花月堂

植栽  :withers

書   :Rie

 

撮影  :臼井淳一

 

20250324竣工

 

 
 
 

 

 

業態:立ち呑み店

 

店舗デザインを任せて頂いた押上さんのロゴ。

 

誰かの背中を押せる様な場にする為に作られたお店…
とはいえ何でもかんでも首を突っ込んで急き立てるという訳ではなく、あくまで訊く側であり ココで良ければ話してってくださいという受け身スタンス。

このコンセプトを表現するために『押上』という力強い言葉と相反する柔らかさと、お店を出る時はなんだか気分が上がってる…みたいな少しの高揚感をしたためました。

 

ぽってりさせた太めの線でシンボルを構成し、文字体には “控えめで誠実/芯の強さ” という意味合いを込めてフォント選定をしています。

 

大阪市城東区

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

串揚げ・煮込み『 押上(オシアゲ) 』

 

坪数    : 5.9坪(客室2.8坪/厨房2.5坪/トイレ0.6坪)

工期    : 3.5ヶ月(貸主側雨漏り補修工事期間含む)

ご依頼内容 : デザイン / 設計 / 施工 / 厨房設備 / ブランドディレクション / グラフィック

工事前状況 : 現状復旧跡のセミスケルトン

所在地   : 大阪市城東区

 

概要    :

 

大学進学で愛知から京都に移られ 在学期間中に体現された関西の飲食店の温かさに “いつか自分も関西で店を持ちたい!”と心に決められたお施主さん。

 

卒業後はご出身地に戻り 有名飲食店で数年修行されたのちに開業資金確保の為に転職。ある程度目処がついた段階で在職しながら出張ベースで物件探索と内装業者選定… の際に接点を持たせて頂きました。

 

お話をお聞きして伝わってくる 夢の実現の為の行動力や計画性の高さと “人生一回っきり / 何事もやってみないと判らない / 自分が納得できる人生を” というコメントから垣間見える強いチャレンジ精神。だけど立ち居振る舞いは極めて謙虚でらっしゃる。

このバランスにヤラれ初めて、『僕に作らせてください!』って言わされちゃったお客さん。

 

2度目の大阪出張時に内覧された本物件を気に入られ 作図と見積りを急ぐも肝心の融資の目処がつかないまま不動産側の都合に譲歩し、先に物件契約。

それ程までにモノにしたい場所という事なんだけど、既に家賃が発生している状況下で思いのほか難航する資金調達。余儀無くされる着工遅延と工期の延滞。

 

長い時間を要しましたが、お施主さんはじめ皆の労が奇跡的に報われ無事完工を迎えることが出来ました。

 

 

この現場は大阪城東区の今福東。

 

お年寄りが多い街ながら 人口も世帯数も事業所数も増え続けている上向きな町。

国道1号線が府道8号(鶴見線)へと名を変える蒲生四丁目の交差点から西へ少し。

その鶴見線から1ブロック南下した角地にある鉄骨造の単独平屋。

 

元が餃子が売りのラーメン屋さんだっただけに 引き込まれているインフラも十分(グリーストラップだけ何故か無かったが)。

飲食店を開業する環境として絵に描いた様なロケーション。

先に物件を押さえたくなっちゃうのも十分理解出来る、そんな場所。

 

構想される業態は串揚げと煮込みを主とした居酒屋。

ただ坪数や区画の形からすると座席を設ける事が困難でカウンターのみのスタンディングにしか出来ない。でも愛知では立ち呑み文化がほぼ皆無との事で 当初悩まれていました。

追って大阪の飲食市場をリサーチ。そもそもその文化が定着している事や改めてトレンドに成っている事を認知され業態のシフトをご判断。

 

お施主さんのご要望とお人柄 そして街柄を考慮し デザインコンセプトを『昭和の和装な令和のスタンド』としてプランを進めました。

古臭い立ち呑み屋然としたイメージをベースに 一定の今っぽさは感じる…というトコロを狙いました。

 

なかなか無いであろうサイズ感のテントはフレームを残し既存を撤去。 出入口とテイクアウト部の必要な箇所だけ新規で張り直し。

外部のぼけたピンクがかった吹き付け塗装も既存。狙って出せる色じゃないし妙に雰囲気を感じたもので。

予算とは関係無く 既存活かしの箇所を意識的に確保し、歴代の入居者と古い街へのリスペクトも表したつもりです。

 

建具含む木工仕上げは全てラワン。

設置箇所に応じて合板と無垢とを使い分けています。

 

建具のガラスをモールガラスに。

ほぼパノラマな見え方になる店内のプライバシー確保という意味合いと、懐かしさやホッコリ感の演出とを兼ねています。

 

のちに展開予定のテイクアウト用に厨房直結の小窓を設置。

和装なデザインに折れ窓はいかがなものかとも思いましたが  “動き” を足した方が良いという判断で上げ下げ窓ではなくこちらに。

 

カウンター天板はt30のラワン合板で木口部は2枚貼りで厚みを持たせています。

ここは今っぽさより既視感・安心感を優先しています。

 

店内外に見えてくる欄間は高さ関係を統一して この店舗のデザインと設計上の一つの基準としています。

ファサードの垂れ壁からトイレ開口まで繋がったこのラインが生み出すカクカク感が なんとなくの今っぽさを醸し出してくれていればなぁと思うトコロです。

 

モルタルで仕上げたカウンターの腰壁の足元には 目地ナシで並べたブロックの上に踏み板を設置した足掛けを。

これは来店者がなるべく楽に飲食できる様にカウンター側に体を預け易くする…という事、またそれによって自然とトイレ導線が確保される という二次効果を狙っています。

 

ほぼ木工と左官で仕上げた空間にデザインコンセプトの範疇内で何かエッセンスになるテクスチャを… という意味で客席奥入隅にウロコ調ガルバリウムを割り付けた壁を。

恐らくココは店内で一番衣服が擦れ易い箇所であろうという事も兼ねての選択です。

 

正面右のメインのサイン上部にはオリジナルのポーチライトを。

軒先に佇む門番としての地味で物言わぬ愚直さ… みたいなものを表してみました。

 



 

多くのリスクを承知で他府県から転居しての開業。
“ 誰かの背中を押したい ”という意図のもと 創られたこの場の名は『押上』。

 

ここには 当時勇気をくれた 関西の飲食店のあの雰囲気をいつか提供する側になりたい そういう場にしたい という想いが込められています。

 

この場で後押しされた誰かが、また違う誰かの背中を押す…

そんなロケット鉛筆みたいな好循環がここから生まれれば素敵だなと思います。

 

 

 

施工  :内山大樹(ハナケン)

照明  :西野照明デザイン事務所

電気空調:一粒万倍

塗装  :KCR

厨房  :タウンタウン

金物  :マーサーステンレス

テント :大谷テント

提灯  :花月堂

装飾  :小西康太(segno)

 

撮影  :臼井淳一

 

 

20240831竣工

 

 

 

 

業態:日本食レストラン

 

移転改装に際してのリブランディングの一環として、ロゴを作成させて頂きました。

 

お若いオーナー率いるお若いチームが運営する飲食店である事、オリジナル商品の物販はじめ グラフィックにも趣向の強いお店である事、それ等をを醸し(かもし)出す…に留意しました。

 

『漠』を読めるギリギリまで図形化しさまざまな媒体への転用に映える様にしています。

シンボルをグラフィカルにした分、文字体はスッキリとさせ 全体としてユニバーサルデザインに落とし込んでいます。

 

現地ではまだこういうデザインが余り無さそうで 良い具合に目を引いてくれるんじゃないかという見立てから着想しています。

 

スービック/フィリピン

 

 

 

 

 

 

 

 

業態:BAR

 

お店も作らせて頂いたBar『 manabu 』のロゴ。

 

こういうハッタリの効かないのが一番難しい… ^^;

 

お店の業態とコンセプト的になんとなくデザインブランドの “amadana” や自動車メーカーの “Maserati” っぽい文字体が合いそうだなと直感し。

『ブロック体と筆記体の間・ゴシック体とセリフ体の間』みたいな表現が出来れば『高級とカジュアルの間・よそ行きと普段使いの間』みたいなお店のコンセプトに沿うと思い。

 

で色々とやってみた結果、“ Mina ” というフォントを見つけたのでそれをベースにアレンジして作りました。手書きっぽい筆記体という点でも都合が良かった。

 

ショルダーネームの『BAR』はDEAN & DELUCAでおなじみのCopperplate(カッパープレート)。

ゴシック体でカジュアルだけどセリフがあるので格式高くも見える…で人気のアレです。

曲線で構成された文字を〆る意味でこれをチョイスして全体のバランスを取りました。

 

兵庫県西宮市

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Bar『 manabu 』

 

坪数    : 11.2坪(客室7.0 / カウンター厨房及びバックヤード3.6 / トイレ0.6坪)

工期    : 3ヶ月

ご依頼内容 : デザイン / 設計 / 施工 / 厨房設備 / 家具選定 / ブランドディレクション / グラフィック / 各種備品製作

工事前状況 : スナック居抜き(一部残置物アリ)

所在地   : 兵庫県西宮市

 

概要    :

 

老舗ホテルグループの飲食部署においてバーテンダーとして実に30年を勤め上げた元ホテルマンさんの独立開業にお供させて頂きました。

 

そのキャリアを都会のド真ん中で積み上げてこられ そこで多くのファンをつくってこられた関係上、当初は大阪のターミナル周辺での開業を目論んでられました。

しかしながら物件模索中に不動産事情を目の当たりにされ対象エリアをシフト。

ご自身のご出身地である兵庫県西宮市を今後の拠点作りの場に、と決断されました。

 

現場は阪神甲子園駅から北へ徒歩8分。

甲子園球場とJR甲子園口との中間に位置するそのエリアは、球場から海へ向かう南側と少し毛色の違う閑静な居住区。

大きなお屋敷・幼稚園・公園が点在する穏やかで住み良い地域。

 

回転と単価とサービスの全てを高い水準で求められ続けてきたご経験を、慣れ親しんだセミローカルな町で受け入れられるモノに変換する事が命題に。

 

そこで

 

■ 近隣の方々に『リラックスできてステイタスも感じれるサードプレイス的なバーが身近に出来た』と感じて貰う

■ ちょっと足を伸ばしてでも定期的に目掛けてきたくなる場所

■ 知ってる事を誇れる場所

ひいては同業者の方やこれからバー開業を考えてられる方が何かを感じに来店される

 

そんな場を創ろうと相成りました。

 

携えられた高い教養や知識や技術と、控えめで穏やかな誰からも愛されるキャラクター。

後はそれを発揮する『場』のつくり方さえ間違わなければ、多少時間は掛かってでも上記の様に使って貰える様に成る筈 

 

環境的にペルソナイメージは限定せず、少しでもお酒が飲める人であればどなたでも非日常を感じながら思い思いの時間をゆったり過ごして貰える場所に。

みんなに向けた場所だけどきちんとリスペクトは頂戴出来るそんな空間を想像しながらプランを固めていきました。

 

メインのL字カウンターに加え、壁を向いたカウンターとラウンジ席を設けています。

マスターと顔見知りだったり常連に連れられてじゃないと行きにくい様では皆の場所には成り難い。

マスターとお話しをしながらお酒を愉しむ以外の色んな使い方をして貰える様、小さいお店ながら3つのシーンを設けています。

 

解体で現れたSRC造の躯体は壁も天井も活かせる箇所は全て活かし。

manabu』という事で黒板から着想した深いグリーンとオークで染色した木工による 大正ロマンなカラーリング。

インダストリアルと『和』を調和させ、シャープな空間なんだけとなんか和む(なごむ)あったかいんか寒いんか解らんを狙いました。

 

インテリアの主役であろうL型ペンダントライトは特注品。

工場や納屋なんかにぶら下がっていた、紐で引っ張って点灯/消灯する昔ながらの山型の笠付きの蛍光灯ライト。アレを今っぽくしたら…をコンセプトに、1本物の自由変形のLEDチューブライトを起点に作りました。デザインを鈍臭く振っているぶん M6の寸切りでの3点持たせでスッキリ見せています。

設置するまでめちゃめちゃ心配でしたが上手くハマって大満足。

 

ライティングに関してはあまりメリハリを付けすぎず、明るくも暗くもない…ぐらいにし、『ココはこういう場所です』という主張を避けています。

それぞれの解釈でやはり思い思いに使って貰い易い雰囲気作りを狙っています。

 

木は建具も含め全てラワン。

移動家具のうち、ラウンジ席のローテーブルはオリジナル。

こういうの既製品でありそうな気もするけど、見当たらなかったんで作りました。

 

嵩上げ部の床材…も特注品。

打ちっぱなしの躯体の冷たさと、スタッコ調の造作壁の暖かさを融合させるポイントになる箇所と捉えて仕上げ材を選定。

フローリングは暖かくなり過ぎるし、土間では冷たくなり過ぎるし…

うまい具合に温度感を合わせる為に450角にカットした溶融亜鉛メッキ鋼板を床タイルとして貼る、としました。

大判のフラットな磁器タイルと迷いましたが、鋼材でありながら厚く被覆された亜鉛メッキによるトロみの具合が丁度いいと思い。

あまり床材として使われる事もないでしょうから必然的に差別化にも繋がるかと。

 

外部のサインは木目が主張した板目のケヤキ材にUVにてロゴを転写。

控え目なサイズとややオーセンティックな見え方で店内との軽いギャップを狙います。

 

A型看板は温存していたスチールの折り畳み構造。階上に設置となる為、倒れ難い一定の重量と日課となる上げ下げ作業の負荷軽減という矛盾を可能にします ※詳細は什器/看板ページ

 

15mm程のRを付けたモルタル巾木と床面の入隅部 / 大きめの面取りをした木小口 / R処理を施した新規壁の出隅 …

仕上げの部分で柔らかさを出し、お施主さんのキャラクターとの調和を図る細工をしています。

 

 

長らく構想されていた大阪の中心部での開業からローカルでのそれへと変更され、そこでの成功にはこういった店舗の存在意義の明確化が必要であろうと判断されるその決断力は天晴れなモノがありました。

物件が未定な段階で最初にお会いしてから、実際の工事契約までに1ヶ月と少ししか掛かっていないというスピード感。

それに限らず諸々の仕様を決めるにしても決断が早い… 私もスピードには自信がある方ですが “この人には敵わんわ…” と感じながら至極リズミカルにお仕事をさせて頂けました。

 

開放的とも隠れ家的ともとれる絶妙な場所で、そこにニーズがあるか否かでは無く『潜在的なニーズをくすぐる』という観点から創出された大人のサードプレイス『Bar manabu』。

必ずやこの場が1人でも多くの人の無くてはならない場所に成ってくれる事を願います。

 

 

施工  :内山大樹(ハナケン)

照明  :西野照明デザイン事務所

電気空調:一粒万倍

塗装  :KCR

厨房  :タウンタウン

金物  :マーサーステンレス / INTERACTIVE Inc.

家具  :アスプルンド

装飾  :小西康太(segno)

 

撮影  :臼井淳一

 

20240831竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

 

t1.6スチールにお店のコンセプトカラーの焼き付け塗装+ロゴのUV転写。

 

設置時は又を広げるのみで、撤去時は持ち上げるだけでパタンと畳まれる仕様。

B1にあるお店から階上の路肩に上げ下げする日常のストレスを軽減。

 

お店の営業って毎日毎日が小さな作業の積み重ね。

それ等を少しでも簡単にする為にデザインで貢献する… この仕事のやりがい以外の何モノでもありませんね。

かなりの出来だと勝手に自負していますので、製作ご希望のお店さんからのお問い合わせお待ちしています。

 

 

 

事業名  : usable design / ユサブルデザイン

 

所在地  : 大阪市北区松ヶ枝町7−4 第2 田渕ビル 2F

 

連絡先  : T.06-6354-2418 / HP.09019521764(外出が多いのでHPの方が確実かもです)

 

URL  : https://usable-design.com

 

事業内容 : 店舗デザイン / プロダクトデザイン / グラフィックデザイン / これら全ての設計及び製作 施工 / エイジング / ブランドディレクション

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LOUNGE『Bunny』(ラウンジバニー)

 

業態    :昼/カフェレストラン 夜/ラウンジ

坪数    :29坪

工期    :2ヶ月

ご依頼内容 :デザイン / 設計 / 施工 / ブランドディレクション / グラフィック / 家具製作 / 厨房設備

工事前状況 :子供服店の居抜き

所在地   :大阪府泉佐野市上町

 

概要    :

 

物件は昭和40年代開業の商店街の一角。
現在は半シャッター街ですが、たまたま全盛期を知っている私としては これからを担う若い方がその場所から新しいビジネスを始めるという事だけでも、奮起する理由として十分でした。
加えてお客さんの開業の意図や店舗のコンセプトに共感、それを具現化する為に最大の努力をしたつもりです。

 

永らく物販店舗(子供服店)であったその区画をほぼ一旦スケルトン近くまで解体し、飲食店用の設備を引く結構大がかりな工事となりました。

 

夜間のラウンジ営業を主軸にしながらも、昼はこの古い街にフィットした体に優しいランチを提供するお店… 昼顔と夜顔、お店にいわゆる2つの顔を持たせるというコンセプトの表現に留意しました。

 

昼は健康志向の女性メイン、夜は女の子目当ての男性メインという事でなかなか難しいミッションでしたが、清潔感・凛とした・非日常・解放感・行儀の良い・ナチュラル 等をキーワードにシャープだけど柔らかい空間創りを心掛けました。

 

恐らく50年ぶりにその姿を晒した躯体はかなりしっかりとしていたので床・壁・天井はなるだけソレを活かし、新しく立ち上げた壁は全て白のクロス仕上げ且つ店舗デザインでは初めてのソフト巾木を採用。
ハードとソフトのコントラストを意識し、お店の振り幅の大きい二面性の表現に耐え得る空間としての強いベースが出来たと思っています。

 

化粧木は暖かさと柔らかさの演出にとして全てシナベニヤを採用。
あと、これは毎度ですが高さ設定は数種に抑え、情報量を減らしています。

 

幾多のお客さんの希望を反映し、デザイン的な整合性を取りながら幾度も図面修正を重ねた結果、お客さんと我々の双方が周りに自慢できる良い空気感の空間になったんではないかと勝手に思っています^^;

 

プラン作成段階から完工に到るまでホント沢山のトラブルにも見舞われましたが、理解のあるお客さん初め工務店さん職人さんに助けられなんとか皆んなでフィニッシュ出来た事がより特別な財産になった事も加えておきます。

 

ラウンジでママをされていた方の独立開業としてお手伝いさせて頂きました。

 

 

2022年2月9日竣工