MORRIES(モーリス)
業態 :ワインバー
坪数 :9.9坪
工期 :2ヶ月
ご依頼内容 :デザイン / 設計 / 施工 / ブランドディレクション / 家具製作 / 厨房設備
工事前状況 :スケルトン
所在地 :大阪市中央区東心斎橋
概要:
高級レストランで今日に至る十数年勤続され、複数店舗のマネージメントを担当、ご自身もワインのソムリエ資格を所有、そんな確かなスキルとキャリアを有した方の独立開業初出店となる店。
その場所としてお施主さんが選んだ場所は、大阪ミナミ有数の歓楽街“八幡筋”。
その八幡筋と玉屋町筋の交差点付近に位置するレジャービルの3階。お世辞にも行儀が良いとは言えない夜の街のド真ん中で、その雰囲気に抗うかの様な行儀の良いお店が生まれる事になる…
ご本人のご希望としては
・フランクな雰囲気だが馴れ馴れしくない適度な距離感
・ワインを語れる空気感
・ワンオペ故、カウンターから離れず運営可能なレイアウト
・隠れ家感
・お客さんの時間をワインとトークでコーディネート
これ等をカタチにする為に心掛けた事は…
・素材活かし
・ローカウンター
・目線の高さ関係
・カウンターの奥行き設定
・リュクス感とカジュアル感のバランス
・プライバシーの確保
なんかをキーワードに挙げつつ設計デザインを進めました。
特に“目線の高さ関係”は、お客さんと1杯2000円を下らないワイン(…モノもある)を挟みカウンター越しで接客する際にとても大切になるんじゃないかと勝手に解釈し笑 最もデリケートに設計した部分です。
そしてとても大切な事がもう一つ、扉一枚隔てた向こうに街の雰囲気とは全く別の世界を創る…という事。
そこに異世界を創ってしまい、結果的にソレが隠れ家っぽさを醸し出す。
簡単に言うと『ミナミに居ながら北新地を感じれる…』そんなお店。
引き渡し状態は、ライフラインが区画内に引き込まれているだけのスケルトン状態。
天井を塗り、床を組み、配管し、新しく壁を立て、既存の壁をふかし、配線し…と触らなくて良い箇所が1つもない工事となりました。
木部は化粧材は全てシナ。費用の関係上、厚いモノは使えないので木軸の上にPB貼ってその上から突板さながらに4mmや5.5mmのシナを突き付けて貼っています。
このお店の命であるカウンターは、グラスを置いた時に中が空洞である事が解る様な軽い音がしない様に無数の軸を組んでおり、木口は積層パーツで蓋を。
嵩上げした床も費用の関係上、木床に。カーペット敷きにしたのはその空洞の上を歩いている様な歩行音緩和の効果もありますが、せっかく3階で雨を拾いにくい訳だしせっかくローカウンターにした訳だし、カーペット上を4つ足の椅子が行き来する感じがラウンジみたいな高級感とアットホーム感が出せて良いかなと…
ファサードはレジャービルお約束の防音扉+シャッター仕舞いと言う“ 防犯最強セット ”は止めさせてて貰い笑 セコム導入を条件に引き戸に。
レジャービルで引き戸ってだけで、周りとの違和感がスゴい笑
これまでのお店づくりの経験の中で、予算的に最も厳しい案件の一つでしたが、工務店さん側に滅茶苦茶頑張って頂いたのと、お施主さんに時間を頂けたのとでなんとかお仕事させて頂けました。
ミナミに居て、大切な人を連れて行ける店… スマートで粋な時間を過ごせる店…
当初の目標を達成出来たかな?と思うんですがいかがでしょう。
20220702竣工