店舗

〜 混じり気なく伝え、そして表す 〜
#24 JAPAN CAFE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

JAPAN CAFE

 

坪数    : 23.1坪(客席7.40坪 / オープン厨房4.15坪 / クローズ厨房4.25坪 /トイレ0.52坪 / 共用部6.71坪 )

席数    : 17席

工期    : 3.2ヶ月

ご依頼内容 : デザイン / 設計 / ブランドディレクション / サイン

工事前状況 : 新築スケルトン

所在地   : Nieuwstraat 53, Arnhem 6811HV, the Netherlands
 

概要    :

 

オランダはアーネムにて、往年の日本のソウルフードを主力メニューに携えたカフェ【 JAPAN_CAFE 】のブランドローンチプロジェクト。

 

オーナーのご出身地である広島で地元紙に掲載される程有名だったというお父様の餃子。

その餃子にタコ焼きとおにぎりを加え、これらを ファスト/イージーという枠を出た “日本食” として昇華し、未知とするオランダ現地の方々に1つのコンテンツとして提供したい… という想いを基に、何年も温めておられたアイディアの具現化のお手伝いをさせて頂きました。

 

当初は現地デザイナーでの空間造りを企てていたものの、表現したい繊細なニュアンスの共有に限界を感じられ日本の空間デザインのマッチングサイトをご利用。

そこでユサブルデザインを見付けて頂いた訳ですが、オンラインのみでそのニュアンスをカタチにする責務を負いきれるのかの迷いがありました。しかし現場監督を自らでされる覚悟の施主さまに呼応するカタチでこちらも腹決め。

 

首都アムステルダムから南東へ100㎞、特急列車で1時間程揺られると到着するターミナル駅 “ Arnhem(日本語読みはアーネムもしくはアルンヘム)” 。

ゴッホ作品で有名なクレラー・ミュラー美術館始め、市営の大きな博物館や公園を有し、国際河川であるライン河が脇を流れる。

自然とアートが共存し学生も多い街で、再開発時に新しい美術館設立の候補地にもなっていた様なエリア。

そんな恵まれた環境に親和性を感じられ、ここをブランド発祥の地と決められました。

 

その地にてブランドとして生み出すべき場の在り様として

◯ 余白があり、凛とした空気を纏わせる

◯ 細部への留意による繊細さの醸出

◯ コントラストとしての綱材類のバランス

◯ 最後に設置される日本の古い調度品を、エッセンスとして受け止めれる土台

◯ 気を遣わせないアットホームな接客スタンスが軽いギャップとなる様な空間

これらを据えてプランを構築しました。

 

 

空間の多くを占める客席上部にそれをセグメントする役割も兼ね、下地材を面取りした組み木を。全体のバランスと天高を考慮し余り頭上からの圧が強くなり過ぎない様に、また和装飾としての主張が強くなり過ぎない様に 抑えめの30角材を採用しています。

 

躯体壁は既存に防塵目的のCL塗装仕上げ。日本のモノよりやや白く有機的な色味がうまい具合に空間コンセプトを助長してくれていると感じています。

 

ニッチ棚を有した正面の造作壁は漆喰。インダストリアル+木工のトレンド空間を基盤としながらも、ブランドのアイデンティティに出来る何らかの柔らかさをここにしたためてます。ニッチの出隅には大きめのRを付け入隅は角残しにしてホッコリ加減を調整、仕上げの漆喰の揺らぎと相まって静寂さと幻想感を醸し出せたかと思います。

 

入り口から奥まで通るカウンター。お店の顔の1つであるココは工程や予算の煽りを受けてかなりの難産だった奇跡の産物。
腰には元来は床下地として使われるリブ綱材を意匠として。こんなのが資材屋で幾らでも売られてるのは羨ましい限り。亜鉛メッキのギラつきと品のあるリブのピッチ、そのリブに付いた僅かなR… コスト面も含めて即採用を判断。
また天板には今度は壁用の下地材を。良いのは色目と杢目だけでそもそも天板に使える強度と耐水性は無いモノを、ウレタン樹脂やらレジンやらのコーティング手段を現地で試行錯誤してなんとか天板として使える様に仕上げて貰ったモノ。
下手に磨いてツルツルにせず、平らではあるけれども素材感が残る仕上げとしています。

 

ブランドカラーのブルーを携えたカウンター背面壁は全てスチールパネル貼り。
突き付け部に小さなRを生む様にt1のステンレスをMDFに4方から巻き込み、シルバー素地のモノは何とお施主さんによるバイブレーション仕上げ。真っ黒になりながら初めて触るランダムサンダーで磨きに磨いて頂きました。
前出の漆喰面にも言えますが、手掛けによる想定し得ない独自の陰影がこの空間における “底の知れなさ” を捻出している様に感じています。
 

 

ダイレクトに“和”を表す、和空間を創る… ではなく いかにして内面的な“和の心”を滲み出せるか… が今回の肝だった様に思います。
 

 

オーナーは元々国家予算を割いて行われる歴史の研究に永く携わられた学者さん。すこぶる造詣が深く 何につけても理解が早いし何でも聞いて調べて吸収。やはり“学び”が習慣化されてる人は強い。

加えてそもそも感性のアンテナが高く、ご自身でインテリアやビジュアルの目利きが出来てしまう。

オランダでは、日本の工務店に似た役割として“Aannemer(アーネマー)”というポジションがあり、案件毎の工程管理や職人の手配等を行うそう。しかし長い建築ブームの渦中にある現地において、なかなか適任が見付からない事からご自身で請け負う事を決意。

デザイナー / 設計士 / 施工業者 / 職人 / 建材屋 等の人員調達始め 家主との工事区分の調整から工程表の作成に現場管理…と店づくりに纏わる全てのオーガナイズからマネージメントまでを“施主”であり“親方”であり“現場監督”、時に“職人”として統率。

 

・ゼロからプロジェクトの施工メンバーの全てを確保

・全ての材料を現場に足を運んで目で見て触って選定

・足りない材料や道具はプロ資材屋で調達

・塵を抑え、漆喰を塗り、鉄を磨き、全ての壁に念を入れる

・是正箇所は資材手配してタッチアップや補修を施す

・不都合が起きればデザイナーに相談と確認

 

これらの文章の頭に“自ら”が付く。

 

本プロジェクトのMVPは間違いなくオーナーご本人。

 

現場で、ややこしい作業を文句言いながらも楽しんで解決策を編み出す職人さん達。
今回で初めて出会ってる筈なのにそういう方々が脇を固めているのは、引きの強さからなのか、そうしてあげたくなる人柄だからなのか… 現場の空気感は判らないけど何故か大方上手く回ってた。

また、私が設計監理を進められたのは、現場からの適切な報連相を貰えたからに他ならない。

 

上記は空間創りに関しての事柄についてだけなので、当然コレらに 資金/物件/スタッフ/メニュー/ビジュアル/広報 等の開発業務があり、それらも全てお一人で手掛ける。

営業面では店長兼シェフとして、接客して調理して面接してシフト組んでSNSの発信をする。

 

コレがまた女性ときてる。
スーパーです、スーパーウーマンです。

 

半端なく大変なミッションをやり遂げたこの時間は、ブランドとしての原体験と成りこの先のブランディングの強靭な源泉となる事でしょう。

 

 

初回のWeb面談から約10ヶ月。

プラン段階でのおよそ40回に及ぶオンラインミーティングとご帰国時の1回の対面ミーティング。

工事が始まってからは現場からの随時での連絡にシフト。

コレまでと違い 現場監督/作業員として接するフェーズに。
細部への拘りを要求する事に自覚なく躊躇していたのを序盤の序盤で指摘されて以降、遠慮なくぶつけさせて頂きました。
工事終盤の仕上げの工程では昼夜を問わず 学生時分の文化祭の準備の時みたく頻繁なやり取りを。

 

ありがたい事に デザイン/クリエイション に対する強いリスペクトをお持ちな為、勝手に進めれそうな箇所でも必ず確認を受けました。
勿論それによりやり取りは膨大に膨れ上がっていくんだけど、そうでもしないと この妥協の無い空間創りに至れなかった。
改めて最大の感謝をここに記します。

 

 

 

 

 

 

コンテンツ過多な現代において、事業成功の為の重要資源として見直される“想い”という無形資源。

理屈と、理屈ではない“想い”が高い次元で融合された本プロジェクトに帯同させて頂き、勇気を貰うと共に改めて背筋が伸びる思いでした。

 

想像を高解像度で創造されたこの場から発信される、優しくも強い価値基準が多くの人の心を震わせる事を強く願います。

 

 

 

施工管理  :GRIJZE INTERNATIONAL B.V.

照明計画  :西野照明デザイン事務所

電気    :Jurus Elektrotekniek

漆喰左官. :Boost Werkt B.V.

金物    :Fons Snelder Kunstwerken/ Ljipke Ontwerpbedrijf

現場造作  :Fons Snelder Kunstwerken/ Ljipke Ontwerpbedrijf

家具/什器 :bram & eefje meubleontwerp en maatwerk

 

撮影    :Kaori Maekawa

 

 

 

20260718竣工

 

 

 

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