〜the second〜
中華料理『来夢来人』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中華料理『来夢来人』(チュウカリョウリ ライムライト)

 

 

業態    :創作中華

 

坪数    :19.6坪(1F 9.8坪 / 2F 9.8坪)

 

工期    :3ヶ月

 

ご依頼内容 :設計・デザイン / 施工 / ブランドディレクション

 

工事前状況 :既存店舗のリニューアル

 

所在地   :大阪府豊中市中桜塚

 

 

概要    :

 

阪急宝塚本線の岡町駅を降りてすぐの岡町商店街に入ってこれまたすぐの好立地。

 

近年では珍しくシャッターは稀にしか無い 活気に満ちたその商店街にて、38年の長きに渡り愛され続けた町中華『来夢来人』。

この活気を引っ張ってきた中華の雄もその年月には勝てず激しく老朽化。

先代で35年 ご子孫が受け継いで3年、一旦ここでリセット…という事で町中華『来夢来人』の2階建て1軒屋フルリニューアルプロジェクトが発足。

ご縁を頂き そこに参画させて頂きました。

 

お施主さんは2代目のご主人とその奥さん。

 

お二人共 数年に亘りフランスにある中華店で勤務され、帰国後ご実家のお店を継承。

 

先代が創られた地元の太いお客さんを大切にしつつも、ご自身の経験を活かした創作中華のコースや ナチュラルワインとクラフトビールの提供に取り組まれ 新しい顧客の獲得にも成功。

 

その自信が今回の決断の礎(いしずえ)になってる事は確かだけど、新しくなる来夢来人を誰に向けたどういう店にしていくのか…のディスカッションに多くの時間を費やしました。

 

これまでを支えてくれた既存顧客、新しい提案“も”受け入れてくれた既存顧客、同じくその提案“を”受け入れてくれた新規顧客。

従来の町中華っぽさとコースの似合う少しシュッとした感じと…

単価も客層も異なるそれぞれを総取りしたいのは勿論だけど、ちゃんと事業として判断をした結果…で後者にウェイトを置く事に。

でも極端に間口を狭める事はせず【 従来の中華を求めて来たお客さんに気を遣わせてしまう < コースを求めて来たお客さんに見合った満足感を得てもらう 】というトコロを狙ってデザインを進めました。

 

解体が進み露わになってく構造。

築6,70年は経っている木造建築は幾度かの継ぎ足し工事で増床されており、余儀なくされる構造補強。作業ボリュームは想定を上回り先ずはそこに工期を割かれてしまいました。

 

ファサードの角材は解体で発生したモノをリユース。

 

建具はラワン。嵌めガラスはノンコーキングにし、開閉時のガラガラ音を愉しみます。鏡板はウロコガルバにマットクリア塗装を掛けて曇らせています。

 

カウンターはよりじっくりコース料理を嗜んで貰う為にハイカウンターからローへ変更。

 

天井は解体後の梁/根太/垂木を表しで、ただ垂木は防塵の観点から新規を増し貼りしています。

 

壁はトイレも含め既存も新規もALLモルタル左官。

補強を入れたとは言え決して強くはない元の壁に対しての施工という事で、ベニヤを増し貼りした上にメッシュ下地としクラックの入りを抑えています。

 

天井との取り合い部は古材屋で調達した国産杉を擬似桁(けた)として設置し、表しにした梁や根太との取り合い部を見切ってスッキリ見せています。

 

既存の古い木造部に合わせ、新規の造作にはラワンと杉足場材をチョイス。

造作箇所によって節(ふし)が有るべきor無いべきを判断基準として、それぞれの採用箇所を決めています。

 

厨房。ラワンベニヤに枠を回した吊り戸棚の内部は、いつもなら…の木工造作棚は油気を考慮して中止し、厨房用のSUS製品をハメ込みました。

もちろん厨房土間も打ち直し、アイカさん責任施工のスペシャル床仕上げ。排水経路も変更しグリーストラップも交換。

 

トイレは少しでも広くとる為、階段下は収納を部分的なものにして残りを傾斜天井に。

 

設備面も数年前に交換した天吊りエアコンとトイレそして一部の厨房機器以外は新調。

 

物置きと化していた2階は多目的スペースへと大きく変貌。時間を掛けて深く沈み傾いてしまった床を修正し、こちらも解体で出てきた梁を表しにし、ボード内部に断熱材を仕込み、架け替えた階段部は吹き抜けにし…

 

その吹き抜け部周辺とフロアにはステンドグラスの作家である奥さんのお父様が富山の工房にて製作された作品を設置。アンティークの家具や内装材のチョイス含めて、2階は奥さんのディレクション。

 

用途的に1階とは毛色を変えたいという想いを表現して頂きました。

 

 

暑さの中、缶詰めで作業を続ける手練れ大工集団へのドリンクの差し入れはゆうに100本を超えました笑

7月頭から、お盆の休暇もそこそこに みっちりやって実に3ヶ月。

 

エアコンの無い中、誰も倒れず完工まで漕ぎ着けれたこの90日間は 職人さん達の体力への感心と その使命感への感謝で一杯でした。

 

異常な酷暑だったこの2023年の夏の日を 丸ごと捧げて遂に完成した 【 新生 来夢来人 】。

 

天国の先代に見守られながら、無事当初の仮設通り新旧多くの人達に愛され、名店から銘店に成っていく姿を影ながら追っていきたいと思います。

 

 

 

20231001竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

cake_stand『être』(ケーキスタンドエートル)

 

 

業態    :スタンドタイプ スイーツショップ

 

坪数    :23.8坪(1F店舗と浴室及び中庭 16.6坪 / 2F住居 7.2坪)

 

工期    :2.5ヶ月

 

ご依頼内容 :設計デザイン / 施工 / ブランドディレクション / グラフィック

 

工事前状況 :古民家スケルトン

 

所在地   :京都市下京区中堂寺櫛笥町

 

 

概要    :

 

在る状態をなるべく活かした作り込まない店づくりをしたい。

これがお施主さんのご要望でした。

 

これまでずーっとスイーツを中心に作ってこられ、フランスでの生活経験もお持ちのお施主さん。

そのご経験を活かしたお店の開業を決意して 物件を探し始めてはや数年…

 

改めてやっぱり開業する!というムーブに入られた際に 機会で面識を持たせて頂きました。

何軒か物件の内覧を同行した結果、やっぱり最初の物件がイイ。

だけどその家賃を捻出するには…と思案された結果 今のお住まいを引き払って職住一体とするしか方法が無いし、そうでもしないといつまで経っても開業出来ない…で ご決断。

 

という事で京町屋の大改装プロジェクトが動き出しました。

 

急勾配で華奢な階段は イイ雰囲気だけど先を考えると危ないので掛け直し、京都の冬に耐えれる様に住居側の壁には断熱材を敷き詰めまくって。

店舗共用トイレの横にはエアコン装備のサニタリー室(シャワーユニット/洗面/洗濯機)を新設。

 

 

“ ココを生涯の城にする ”というお施主さんの覚悟に応えるには

 

・店舗の動線の中に違和感のない生活動線を敷く

・プライバシーの確保

・永く使う事を大前提とした造作

・極力解体を控え、新設の造作は既設に対して違和感のないモノに

 

などに留意しながらプランを進めました。

 

古物に対する強いリスペクトを持ったお施主さんのご要望に応えるには、そんじょそこらの『古民家リノベ』で養った経験では通用せず、工事期間中はヴィンテージフリークだった自分を呼び起こして丁度イイ位でした。

 

柱・桁・梁を活かすのは元より、傷んでいた箇所や一見汚く見えてしまう様な箇所すら、どうしてもこのままでは職住に支障が出る…という部分以外は全て活かし、劣化が激しい箇所は補修してまで活かしています。

一方、飲食店ゆえ気になる衛生面は この先々で塵を心配する必要がない様に垂木は全面新規を上貼りしています。

建具は防犯の観点からファサードのみ新規を、それ以外の全てはお施主さんチョイスの古建具。それらを改造して設置しています。

 

活かす活かさないの判断待ちや、活かしたいけど活かしきれない箇所の補修や補強の手段の検討時間、またその感覚を現場が理解する事の困難さから職人が機嫌を損ねたり、諸々で工事の進みが悪くなったり…で結果お施主さんを不安にさせお叱りを受けたりもしました。

 

図面が無効化される程の極めて感覚的でSDGsなお店創り。

それを個々の “ 普通 ” がそれぞれ違う即席チームで行う訳ですので、在る程度の代償は覚悟していましたがやっぱり難しい。

 

こういうお店づくりって、終わった後は “ もうやらんぞ… ” って思うんですけど またお話しがあったら やっぱりオモシロいからやっちゃうんですよね^^;

 

元々こうだった?職人施工?DIY?が表層では良く解らない…みたいなラインを狙ったんですけどそんな雰囲気出てますでしょうか。

 

※2階の住居も 新壁と天井から古梁を露出させたなかなかの新旧融合空間ですが、既に生活を開始されているので自主的に撮影は控えさせて頂きました。

 

 

 

 

20230530竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呑み場『ウメダうめだ』

 

業態    : 立ち呑み屋

坪数    : 4.9坪

工期    : 2ヶ月

ご依頼内容 : 設計デザイン / 施工 / ブランドディレクション / グラフィック

工事前状況 : 串焼き屋居抜き

所在地   : 大阪市淀川区十三本町

 

概要    :

 

永らく飲食業界に従事されながら、色々なお店への呑み歩きも日課とされている方が今回のお施主さん。

ナチュラルに十分過ぎるマーケティングを経ていよいよ…の独立開業にお供させて頂きました。

 

現場は十三本町、通称『しょんべん横丁』。

 

あの大惨事から逞しく復興が進むもコロナの追撃で集客が戻りきらず、その後も お店の入れ替わり / 空き物件 / 休業店舗 が点在し、稼働率は5割程度。賑わいで言うと全盛期の1/3にも満たないといったトコロでしょうか。

でも工事中足繁く現場に通う中で、いつ見ても朝10時の開店と共に満席になる立ち呑み屋さんや、週末にはこの横丁を体現しに他所からやって来てる多くのお客さんに都度遭遇。

“ せんべろ ”の発祥の地の様なコノ場所のソノ光景。

やっぱりこの町にはコレが求められていて 先に繋いでいかなきゃなんだなぁ…なんて少し感傷的かつ懐古的になりつつ。

 

そんな需要に応えながらも、この先このエリアを引っ張っていけるお店とはどんなお店であるべきかの自問自答を繰り返して仕上げの手法を幾度も見直しました。

 

お施主さんからのリクエストはシンプルで、『気負わず入れる立ち呑み屋さん』。

元々はファサードのみの改修という事で着工しましたが徐々に内装の依頼が追加されそこそこの工事規模に。

結果厨房を除く全てを触る工事となりました。

 

気軽に…と掲げつつも、せんべろではこの辺りの安くない家賃と高騰する原価を捻出出来ない。

とは言え、最低限の単価は通したい…って意味でウラ難波的な今っぽさを創出したトコロで そういう客層 そうゆう需要じゃない。

で悩んだ挙句 “ 鈍臭さ・古臭さをギリ今っぽく表現する ”… としました。

 

ファサードは

・基礎部分は洗い出して砂目を出した左官

・骨組みを見せたスレート屋根

・チープな雰囲気のブラケットライト

・露出配管は鉄管ではなく塩ビ質をチョイス

・暖簾色は白をやめて酒屋の象徴の紺色に

・建具の鏡板には酸化させツヤ消しにしたウロコ鋼板

・サインは琺瑯(ホウロウ)

 

内部は

・節ありの杉材と構造用合板で木目が主張したチープな雰囲気に

・壁面のミラー貼りで視覚的な広がり効果と 昭和の内装感を(←こっちが本命)

・カウンター垂れ壁にイキったライン照明

 

塗装は全て艶ナシ。

また入り口の3連引き戸は真鍮レールにしてガラスのコーキング留めはなし。

開閉の度に発動するガラガラとした振動音で、入店時に懐かしさや敷居の低さを感じて貰う事を狙いました。

各所の選択とそのバランスは加減がなかなかに難しく、最後に暖簾を掛けてお店に成り切るのを見るまで不安は残り続けました。

 

お施主さんからはロゴ以外はビジュアルに関する殆どを任せて頂きました。

 

この横丁の雰囲気と そのオーナーさんの気取らない人柄に馴染ませつつも、これからまたこのエリアを引っ張っていくべく新しい『場』の在り方は?… の 私なりの解答です。

 

最後、お施主さんに『ココに僕が立ったらおかしいとか思ってるんでしょ〜笑』とニヤニヤして言って頂けた時に、なんだか勝手に報われた気がしました。

今回初めてペアを組んだにも関わらず、コストを合わせつつ細かな変更に応じてくれた製作チームにも感謝感謝です。

 

レトロ寄りのレトロモダンになってたらいいな…と 思うんですが、いい按配になってますでしょうか?

 

 

20230519竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンケーキ&デリ『Delissimo』(パンケーキアンドデリ デリッシモ)

 

業態    : パンケーキカフェ&デリ

坪数    : 5.4坪

工期    : 1.5ヶ月

ご依頼内容 : 設計デザイン/施工/グラフィック/家具・厨房機器調達

工事前状況 : 喫茶店居抜き

所在地   : 大阪府茨木市稲葉町

 

概要    :

 

物件を押さえてるんだけど内装プランが進まなくて契約に踏み切れない… という事でHPよりお問い合わせ頂きました。

 

現場は35年間 地域に愛され続けた喫茶店。しっかりと作り込まれた造作物と、大切に使っていた事が伝わってくるその跡地。自然とそのお店と前オーナーにリスペクトを示す方向でプランの打合せが進みました。

 

豊富な飲食業界での経験に基づいた確かなスキームをお施主さんから聞かせて貰いながらも、コチラの話にも耳を傾けてくれるその柔軟な姿勢に “あ、この人成功する…”と感じながらリズム良く情報交換させて頂きました。

 

今回のテーマは『アメリカンダイナー』。
昨今は稀になったテイスト縛りでのミッション、久しぶりに資料を漁りました。
とは言え何らかのカタチで“今”は感じさせないとダメな訳で。
という事で、ハードロックカフェやフーターズ、バーガーキングなど、ローラースケート履いて配膳してたアノ80年代アメリカの空気感を今表現すると…?でプランを開始しました。

 

予算厳守の観点から、レイアウトとファサードは既存活かしであしらいのみ変更。厨房をドライキッチンから土間へ、床はフローリングからタイルへ、天井は解体してスケルトンへ、そして吊り戸棚やベンチ席を新設。
お店を喫茶店からアメリカンダイナーに変貌させる為に触らないで良い箇所など無く、結局それなりの工期を頂戴する改装となりました。

 

カウンターとテーブル、そしてベンチの座面はメラミン貼りで拭き取り清掃を簡易に。椅子はスチール製のスタッキング可能な物をチョイス。ショーケース上部の黒板パネルはマグネット脱着式。
効率追求主義の文化から生まれたアメリカンデザインを様々な選択に反映しました。
また、狭小スペースを考慮し、あまり重くならない様に吊り戸棚などの収納システムは浅め(D300)に設定しています。

 

象徴的なRを効かせたファサードのガラスも勿論既存活かし。
ただ、サンドブラストで刻まれた以前のロゴはシートで隠すしかなく。下地は塩ビながら仕上げにはカッティングシートとしてダイノックを使い、最低限の素材感を担保しました。

 

カラーコーディネートとしては、ベースはコンセプトカラーであるミントグリーンと白のバイカラーで軽さと清潔感を。スケルトンの天井とペンダントライトの無機色にてインダストリアルを。木口を露出させた天板類の木で僅かばかりのナチュラルをそれぞれ表現し、部分使いの黒で全体を締める…としました。

 

開店の祝い花の替わりの寄贈品として、W1600×H800の大型キャンバスアートを。お施主さんがお店のブランディングの一環として用意されていたキャラクターのグラフィックを使わせて貰って勝手ながら店内の一等地の壁のセンターに^^;

 

アメリカンダイナーを今表現するならこうでしょ! と言い切れるトコまでやれたかどうか判りませんが、ソレを彷彿とさせながら これからの若い人にも“カワイイ”を貰えるお店になっていたら嬉しいですね。

 

可能な限り既存流用しながらも予算的に厳しい案件に前向きに取り組んでくれた工務店さんと、モノづくりへの高い見識故にお時間を与えてくださったお施主さんとに支えられて納める事が出来ました。

 

 

2023年3月27日竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

ビール酒場『ゴリラ家』(ビールサカバ ゴリラヤ)

 

業態    :ビール酒場(洋風居酒屋)

坪数    :7.3

工期    :2ヶ月

ご依頼内容 :設計デザイン/ブランドディレクション/グラフィック/施工/家具・厨房機器調達

工事前状況 :焼き鳥屋居抜き

所在地   :大阪市平野区

 

概要    :

 

地元大阪平野での念願の飲食店開業… にご一緒させて頂きました。
物件の検討段階でお声掛け頂き、その十分過ぎる土地勘を活かし同行2軒目で即決。
現場は、対抗二車線の大通りを4日間封鎖して行われる“平野郷夏まつり”の中心部。祭りの目玉である2日目の夜の“九町合同曳行”では目の前の通りに地車が集結。
その南港通りから杭全(くまた)神社に向かう入り口にあたる “との川歩道橋” の麓。
『だんじりの時はこの辺、人がスゴいんですよ』とは施主さまの弁。

 

そんな夏の平野の震源地の様な場所でお施主さんが作りたいお店とは…
・居酒屋だけど少し洋風にしたい
・これからの若い子達が集うお店にしたい
・この辺には無い感じの店にしたいケドお洒落過ぎると敬遠されそう
・『酒場』を名乗れる感じにしたい
・立ち呑み感を取り入れたい

 

予算の関係上、中は手を付けず居抜きのままにしておいて改修点はファサードに特化しましょう…という方向でプロジェクトがスタートしました。
ディスカッションを重ねる程にアメリカ西海岸テイストがお好きな事や、居酒屋のバタ臭さも嫌いじゃ無い事に触れ、その趣向と上記のご要望とをいかに擦り合わせるかに留意しました。

 

前出の通り、内装は厨房/カウンター/垂れ壁/トイレ/床/天井は前の焼き鳥屋さんのまま表装のみ変更。特にカウンターはハイカウンターにしたかったけど今回は我慢。その代わり店内外にお客さんが勝手に使えるスタンド用跳ね上げ天板を13台設置。お店の集客状況やお客さんの飲食スタイルに合わせ動きを付けれる設計にし、賑わい感に結び付ける事を狙いとしました。

 

元々閉鎖的だった外装は全て撤去、角地の利を活かし2面開口に変更。
ファサードは跳ね上げ天板を起点に高さ関係を整理し、いつも通り情報量を減らす作業をしています。

 

色は黒/グレー/レッドオークの3色で構成しアシンメトリーにして動きを付けました。
入り口建具は木建具とアルミサッシが上下でドッキングした様なデザイン。鏡板にアルポリ合板を使い、グレー部に属させながらテクスチャーを変える事で見どころを作りました。
サイン部の黒塗装のモルタルはエイジングして表情をつけています。

 

店内外のルーバー調に突き付けたパイン材にて“洋”の表現を。80年代、日本のデザインが未だ欧米に憧れていた頃に良く家具等で見られた小懐かしいあしらいを取り入れています。
以前は一升瓶の飾り棚として使われていた垂れ壁も同じく。垂れ壁側に鉄板を仕込み、マグネットシートを施した黒板パネルは脱着可能。営業時は白チョークでメニューが羅列され、洋食店ぽさを助長します。

 

7坪ながらMAX30客は許容出来るコノお店。
夏祭りを筆頭とする非常な集客時には可変式の跳ね上げ天板を発動させ、街の止り木的役割を担います。

 

常連さんがご新規さんにお店の使い方を教えてあげてる…みたいな画を想像しながら設計を進めました。
この『ゴリラ家』が遠くない未来で、夏じゃなくてもお祭りの様に活気のある繁盛店になる事を願います。

 

 

20230127竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
 
MORRIES(モーリス)

 

業態    :ワインバー

坪数    :9.9坪

工期    :2ヶ月

ご依頼内容 :設計デザイン/施工/家具製作/厨房機器調達

工事前状況 :スケルトン

所在地   :大阪市中央区東心斎橋

 

概要:

 

高級レストランで今日に至る十数年勤続され、複数店舗のマネージメントを担当、ご自身もワインのソムリエ資格を所有、そんな確かなスキルとキャリアを有した方の独立開業初出店となる店。
その場所としてお施主さんが選んだ場所は、大阪ミナミ有数の歓楽街“八幡筋”。
その八幡筋と玉屋町筋の交差点付近に位置するレジャービルの3階。お世辞にも行儀が良いとは言えない夜の街のド真ん中で、その雰囲気に抗うかの様な行儀の良いお店が生まれる事になる…

 

ご本人のご希望としては
・フランクな雰囲気だが馴れ馴れしくない適度な距離感
・ワインを語れる空気感
・ワンオペ故、カウンターから離れず運営可能なレイアウト
・隠れ家感
・お客さんの時間をワインとトークでコーディネート

 

これ等をカタチにする為に心掛けた事は…
・素材活かし
・ローカウンター
・目線の高さ関係
・カウンターの奥行き設定
・リュクス感とカジュアル感のバランス
・プライバシーの確保

 

なんかをキーワードに挙げつつ設計デザインを進めました。

 

特に“目線の高さ関係”は、お客さんと1杯2000円を下らないワイン(…モノもある)を挟みカウンター越しで接客する際にとても大切になるんじゃないかと勝手に解釈し笑 最もデリケートに設計した部分です。

 

そしてとても大切な事がもう一つ、扉一枚隔てた向こうに街の雰囲気とは全く別の世界を創る…という事。
そこに異世界を創ってしまい、結果的にソレが隠れ家っぽさを醸し出す。
簡単に言うと『ミナミに居ながら北新地を感じれる…』そんなお店。

 

引き渡し状態は、ライフラインが区画内に引き込まれているだけのスケルトン状態。
天井を塗り、床を組み、配管し、新しく壁を立て、既存の壁をふかし、配線し…と触らなくて良い箇所が1つもない工事となりました。

 

木部は化粧材は全てシナ。費用の関係上、厚いモノは使えないので木軸の上にPB貼ってその上から突板さながらに4mmや5.5mmのシナを突き付けて貼っています。
このお店の命であるカウンターは、グラスを置いた時に中が空洞である事が解る様な軽い音がしない様に無数の軸を組んでおり、木口は積層パーツで蓋を。

 

嵩上げした床も費用の関係上、木床に。カーペット敷きにしたのはその空洞の上を歩いている様な歩行音緩和の効果もありますが、せっかく3階で雨を拾いにくい訳だしせっかくローカウンターにした訳だし、カーペット上を4つ足の椅子が行き来する感じがラウンジみたいな高級感とアットホーム感が出せて良いかなと…

 

ファサードはレジャービルお約束の防音扉+シャッター仕舞いと言う“ 防犯最強セット ”は止めさせてて貰い笑 セコム導入を条件に引き戸に。
レジャービルで引き戸ってだけで、周りとの違和感がスゴい笑

 

これまでのお店づくりの経験の中で、予算的に最も厳しい案件の一つでしたが、工務店さん側に滅茶苦茶頑張って頂いたのと、お施主さんに時間を頂けたのとでなんとかお仕事させて頂けました。

 

ミナミに居て、大切な人を連れて行ける店… スマートで粋な時間を過ごせる店…
当初の目標を達成出来たかな?と思うんですがいかがでしょう。

 

 

2022年7月2日竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Astral Ray coffee(アストラルレイコーヒー)

 

業態    :カフェ

坪数    :13.9坪

工期    :2.5ヶ月

ご依頼内容 :設計デザイン/ブランドディレクション/グラフィック/施工/家具製作/厨房機器調達

工事前状況 :クリーニング店舗跡のフルスケルトン

所在地   :奈良県奈良市法蓮町

 

概要    :

 

近鉄新大宮駅とJR奈良駅のほぼ中間に位置する奈良市法蓮町。
周囲には古くからの民家とマンション・ハイツがバランス良く共存、奈良育英高校初め少し先に一条高校など教育機関が多数。
古き良き地域社会が適度にアップデートされた治安の良い町。

 

その中央を通る交通量の多いバス通りである一条通り沿いにオープンした『Astral Ray coffee』

 

お若いお二人の共同経営で、カフェでのお勤めの経験はゼロ。
だけどそれで融資受けてまでなぜカフェ開業なのか…の意思と意図に共感。
ほぼプランを完成させていた物件を横取り?されるなんてトラブルにめげず笑 店舗デザインという角度からお店を成功させる為の全てのノウハウを惜しみなく提供させて頂く覚悟でプラン作成に取り組まさせて頂きました。

 

昨今の、美味しくて安全で身体に良いならそこそこのお金は払いたい…という価値観に応えるのは当然、それに加えお二人が従事してこられた“教育”にまつわる事や“心のサポート”の『場』として地域に必要とされるモノにする、これがミッションの全てでありコンセプト。
そのコンセプトを表現する空間創りのキーワードとして。

 

・クリーン / 優しい / やわらかい
・素材活かし
・解放感 / 風通しの良い
・凛とした
・ノーターゲット
・公共施設感
・女性オーナー

 

なんかを勝手にチョイスしてプランを進めました。

 

お二人のご意向として
・全面開口可能なファサード
・テイクアウトカウンターの併設
・ワークスペース化できるテーブル席
・外部ベンチ併設
・新しさを感じる空間 / レイアウト
・間接照明のある空間

 

を上記のキーワードでフィルターかけてコンセプトに落とし込む…を繰り返しました。

 

このお店を使う人が悩まない程度に色んな使い方をして貰える様、客導線・固定ベンチ設定・椅子のワイド・カウンターの奥行き設定、などを設計したつもりです。

具体的には…

 

軽鉄を敷き詰めたカウンターの腰壁は唯一の?今っぽさの演出。
店舗の一番目立つ場所に『人間のインナー部分を支える・支え合える様な場所にしたい・そう成りたい』というお二人の想いを私なりに表現した結果が勝手にそうなってる…と言った方が正しいかと思います。

 

ちょっと小懐かしさを感じる吊り天井でトップの高さの設定とほっこり感の演出。
そこに間接照明を回す事で魅せる為の照明に発生しがちな白々しさ(私が感じるダケ?笑)を回避。

 

テープライトではなくシリコンライトを採用し上部をボワっと光らすじゃなくラインが通ってる見え方にして屋号の『Astral Ray(星の様な光線:直訳)』を表現(実はコレほんとラッキーなたまたま笑)。

 

木部は素地色前提のため色狂いの少ない材をチョイス、面材はシナベニヤ、柱材はスプルースを採用しています。
販売されているカラー画用紙やボール紙製の動物のオブジェみたいな面構成な感じが知育や保育を彷彿とさせて可愛いな…と思ったので今回はなるべく面材で構成しています。建具の枠までベニヤを使い、極力角材や柱材を使っていません。

 

建具の上下センターには素地の鉄板を内外から貼り合わせ。
キックプレートがセンターに来たみたいなユニークさとフラット感を、外観の塗装面のラインと合わせる事でシャープさを出し、モルタル色に寄せる事で外装の一部として建具を壁とを少し馴染ませる事を狙っています。

 

外装の帯状に入った紺の塗装部はモルタル面のテクスチャ負けない様にエイジング仕上げ。
普通のEPインディゴブルーの上に墨汁を凹部に擦り込み以外を拭き取る、軽くサンダーをあててごく僅かモルタル素地まで削る面を作る。
ここは屋号をズバリのギャラクシーを表現。

 

全てステンシルで表現したサイン関係はエイジングをかけずパキっと。
読ませたいモノはハッキリ、雰囲気を伝えたいモノは曖昧に。
ここは公共施設的解釈でサインを雰囲気にはしない笑

 

店内椅子と店外ベンチに関してはシリーズに見せ、デザインを共通させることで内外の繋がりや公平性(内も外も一緒やでぇ)を謳っているつもりです。
デザインソースは“折り紙”。ここも保育や教育と紐付け。
店内用に関してはベンチと椅子の間を狙った『べンス』。
申し訳程度の背もたれが割と良い仕事をしていて、これが案外座り心地を担保してるかと。ワイドもベンチと椅子の間、座り方は座った人が決めればいい…そんなトコもあるツンデレなべンス。妙に猫背になりにくい座り心地は一度試してみて欲しい。
店内の固定椅子は全てこのべンスの背もたれ?設定。

 

毎度ですが、設計上高さ関係は無理矢理にでも数種に絞り情報量を減らしています。

工事期間中、これまでに無いくらい地域住民の方に聞かれた『何オープンすんの?』と『いつオープンすんの?』。
オラがムラに何が出来るのかの興味だったり期待だったりもしかして風紀悪くなるカモの不安だったり…色々だろうけど先ず話しかけてきてくれるそのオープンスタンスがスゴい。
そもそもそういう風土なのか、工事中のお店から出てる雰囲気がそうさせるのか(それならかなり嬉しいが…)

 

郊外に突如として現れたこの新感覚のカフェ『Astral Ray Coffee』がいつかこの街のハブ的な役割を担ってくれる事を願います。

 

 

20220530竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LOUNGE『Bunny』(ラウンジバニー)

 

業態    :昼/カフェレストラン 夜/ラウンジ

坪数    :29坪

工期    :2ヶ月

ご依頼内容 :設計デザイン/ブランドディレクション/グラフィック/施工/家具製作/厨房機器調達

工事前状況 :子供服屋の居抜き

所在地   :大阪府泉佐野市上町

 

概要    :

 

物件は昭和40年代開業の商店街の一角。
現在は半シャッター街ですが、たまたま全盛期を知っている私としては これからを担う若い方がその場所から新しいビジネスを始めるという事だけでも、奮起する理由として十分でした。
加えてお客さんの開業の意図や店舗のコンセプトに共感、それを具現化する為に最大の努力をしたつもりです。

 

永らく物販店舗(子供服店)であったその区画をほぼ一旦スケルトン近くまで解体し、飲食店用の設備を引く結構大がかりな工事となりました。

 

夜間のラウンジ営業を主軸にしながらも、昼はこの古い街にフィットした体に優しいランチを提供するお店… 昼顔と夜顔、お店にいわゆる2つの顔を持たせるというコンセプトの表現に留意しました。

 

昼は健康志向の女性メイン、夜は女の子目当ての男性メインという事でなかなか難しいミッションでしたが、清潔感・凛とした・非日常・解放感・行儀の良い・ナチュラル 等をキーワードにシャープだけど柔らかい空間創りを心掛けました。

 

恐らく50年ぶりにその姿を晒した躯体はかなりしっかりとしていたので床・壁・天井はなるだけソレを活かし、新しく立ち上げた壁は全て白のクロス仕上げ且つ店舗デザインでは初めてのソフト巾木を採用。
ハードとソフトのコントラストを意識し、お店の振り幅の大きい二面性の表現に耐え得る空間としての強いベースが出来たと思っています。

 

化粧木は暖かさと柔らかさの演出にとして全てシナベニヤを採用。
あと、これは毎度ですが高さ設定は数種に抑え、情報量を減らしています。

 

幾多のお客さんの希望を反映し、デザイン的な整合性を取りながら幾度も図面修正を重ねた結果、お客さんと我々の双方が周りに自慢できる良い空気感の空間になったんではないかと勝手に思っています^^;

 

プラン作成段階から完工に到るまでホント沢山のトラブルにも見舞われましたが、理解のあるお客さん初め工務店さん職人さんに助けられなんとか皆んなでフィニッシュ出来た事がより特別な財産になった事も加えておきます。

 

ラウンジでママをされていた方の独立開業としてお手伝いさせて頂きました。

 

 

2022年2月9日竣工

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

焼肉だいにんぐTOKYO(ヤキニクダイニングトーキョー)

 

業態    :焼肉店

坪数    :10.7坪

工期    :2ヶ月

ご依頼内容 :設計デザイン/ブランドディレクション/グラフィック/施工/家具製作/厨房機器調達

工事前状況 :中華料理屋の居抜き

所在地   :大阪府和泉市伏屋町

 

概要    :

 

IT企業さまの飲食業態初出店という案件で、二人三脚やられているお二人の代表者さまと直接プランを進めていきました。
しっかりと自己啓発しておられ、東京はじめ一流ドコロの価値観に触れられているお二人の高いご要望に応える為に幾度も打合せを重ねました。

 

大阪の南西部にあたり、宅地や商業施設の再開発が進み新規富裕層の流入が進む和泉市。
とは言えまだまだローカルなエリアでもある光明池で、施主さまの求める 『ある程度クラス感のある今っぽい和モダンな焼肉店』 とはどうあるべきなのか…
自分の地域にも『こういうお店あんねん』って誇れて、且つ入り易く普段使いもして貰える親しみ易さも兼ね備えた見た目…
という辺りに留意しながらプラン→提案→調整を繰り返しました。

 

・グリルは無煙ロースター
・10坪で20席を確保

 

テーブルは自ずと固定、座席もカウンター以外は固定型にし、間仕切りして個室っぽくする事で高密度だけどプライバシー保護とアフターコロナに配慮した区画構成になるな…という方向でレイアウトを進行。
あとは“コンパクトにまとまっているけど狭くはない”というベストな寸法を出す為に現場で何度もシュミレーション。

 

デザイン面に関しては、シャープでミニマムな印象を与えれる様にしながらも、店内暖簾のグラフィックでキャッチーさを加えてバランスを取っています。

 

座席固定にした事でどこかに少し修正を入れるだけで、ほぼ全体を調整してかなきゃならないし、そもそも一切の無駄なスペースが許されないプランだった為、何度も図面修正を繰り返しました。

 

外装については、目の前の高速自動車道の側道を通る車から見える印象とサインの視認性を最優先。

 

このエリアに余りないシャープで直線的なルックス。そこにシンプルだけどわかりやすいロゴとネオンサインを配置しました。

 

後半で家具が入るまで、全く安心出来ないシビアな設計の案件でしたが、最後なんとか全てが収まり、お施主さまにもデザイン・設計・金額・営業スタイルの面で合格点を頂けた時は緊張から解き放たれた安堵で膝から崩れそうでした笑

 

 

2021年4月6日竣工

 

 

 

 

 


 
 
丼底(ドンゾコ)

 

業態    :ラーメン居酒屋

坪数    :6.6坪

工期    :1.8ヶ月

お仕事内容 :設計デザイン/ブランドディレクション/グラフィック/施工/厨房機器調達

工事前状況 :スケルトン

 所在地   :兵庫県神戸市中央区

 

概要    :

 

全てをお一人で起業される非常にお若いお施主さんに 出来る限り寄り添ってプラン〜オープンまでをお供させて頂いたつもりです。

 

開業の拠点に選ばれた物件は、三ノ宮の呑み屋街と言えば… の東門通り。
その中央部の少し路地を入ったプチ袋小路に新設されたハイツの1階。

 

商売の場としては面白い場所だけど、店作りで言えば規制が多く触りドコロが制約されるハイツ形態。ファサードの演出ははほぼ建具でしか出来なさそうなのにその建具(鉄扉)は変えれない…
ラーメン居酒屋という業態の“美味しそう感”をいかに表現するかが一番の留意点でした。

 

デザイン構築のキーワードとしては
・若さ(今っぽさ)
・ほんのり“和”を醸し出す
・入ってみたくなるキャッチーさ
・美味しそう
・ちゃんとしてそう
なんかをピックアップ

 

外装に関してはかなり大家さんに都合を聞いて頂いて触らせて貰っています。
『モルタル×ネオン』がデフォルト過ぎて面白味に欠けたので、店内側との連携という意味も込めて10mmの底目地をとったモルタルでシナベニヤをビスケット。

 

店内はいつも通り高さを整理してシンプルに。

 

シンプルなんだけどこだわり抜いたラーメンを有する居酒屋…
その本物感とシンプルさ、若いエネルギーと入り易さが演出出来ていれば…と思います。

 

オープンして早々、中々の集客に恵まれているとお聞きしました。
でも中身を伺うと“ソレ、施主さんの接客力やキャラクターが牽引してるトコロが大きいな…”と感じさせられ、このデザインがどれほどそれに貢献出来ているのかは経過観測していきたいです。

 

 

2022年6月30日竣工