ユサブルデザインとして初めて、作例がメディアに掲載されました。
商店建築4月号カフェ特集。
奈良の『Astral ray coffee』さんです。
実はコチラ、工事序盤から『ココでもって商店建築への掲載目指します!』なんて身の程知らずな事を初めてお施主さんに言っちゃってた場所。
『何です?商店ナンチャラって…』から始まり、『本屋で見ました。確かにアレは目指さなきゃですね!』で、そもそも造詣に関心の高いお施主さんを巻き込んでしまった格好に^^;
竣工写真の撮影にもお付き合い頂き、その後仕上がった画像を商店建築の掲載応募フォームへ。
初めての事だから、運良く採用だったらいつ頃までにレスがあるのか… いつまでなら期待を持ってていいのか… の理屈を知らないまま(今尚知らないが)、数ヶ月後に何かの用事でお店に伺った際『判らんけど多分アカンかったんやと思います…』なんて話して終わってました。
“そらそんな簡単じゃないよな…”
するとどうでしょう。
そこから1年位でしょうか、オープンからだと実に1年半程経った頃に編集の方から掲載依頼の連絡が。出張時にお店を見かけて立ち寄った事がきっかけとかで。
なんと… (°_°)
“ そんなんもあんのかぁ〜ぃ ”
たちまちでお施主さんと共有を。
この件に関する話題なんてそれ以来出てない状況で、しかも全く前後関係なく『とうとう…』と入れたダケのイタズラなLINEに、即『載りました!?』と返ってくる始末。
“ 気にさせてしまってたんだなぁ… ^^; ” 半分、 “ 気にしてくれてたんだ^ ^ ” 半分。
でしたがとにかく一緒になって喜んでくれたのは、当初からその目標を共有させて貰ってた事でしか生まれない共感な訳で。少し当時の自分が報われた気がしました。
…なんてアナザーストーリーがある分、感激もひとしおでして。
しかも巻頭 … ^^;
はい。ユサブルデザイン、商店建築に載りました!
商店建築
出版社 : 商店建築社 ※公式サイト
掲載号 :2024年4月号
発売日 : 2024/3/28
特集 :街角と日常に「ちょっと特別」を生み出す空間デザイン
掲載店舗 :Astral ray coffee ※instagram
掲載頁 : 50〜53ページ / 133ページ ※サマリーページ
価格 :¥2,144(税別)
業態:施工業
2023年の頭よりユサブルの工事を担当して貰っている会社さまの新会社の設立にあたりロゴの作成をご依頼頂きました。
『組織とは “輪” であり、自分もその輪の一部でありたい』
『またそれは出入り自由なものでありたい』
という、女性の代表らしい見地と令和を感じさせるコンセプトの視覚化がお題。
…と言っても、おおよそのカタチとカラーリングを決めておられ、その頂いた雛形を整えただけなんですけどね笑
女性がトップの企業である事を伝える為の『柔らかさ』と『包容力』、そして施工会社であるが故の『スピード感』と『堅実性』、その双方をしたためる・感じさせるというトコロに主眼を置いてデザインしました。
大阪市港区
解体する壁に設置されていた住所看板、正しくは『街区案内板』。
プリントもほぼ消えちゃう程激しく劣化しながらもそこに何十年も佇んていたモノ。
普通なら市役所に連絡した上で一時撤去、新調され元あった場所に再設置。
…の筈だけど 単にその“ヤレタ感”がカッコ良かったのと “和” の差し込みアイテムとして抜群だと思い、復旧して店舗のデザインとして一役買って貰おうと。
既存をスキャンして、あったであろう文字をトレース。
ステンシル作って吹き付け塗装、上から擦ってベースの風合いに馴染ませてからクリアコート。
やっぱりコレは柱が似合う…という事で最後の最後に店舗中央の古柱に再設置。
老体に鞭打った感じで申し訳ないですが、引き続き一帯を見守って頂きます笑
りんご飴専門店『 りんごとあっぷるん』
坪数 : 7.2坪(売り場1.7坪/客室3.4坪/倉庫0.3坪/厨房1.0坪トイレ0.8坪)
工期 : 3ヶ月(貸主側補修工事期間を含む)
ご依頼内容 : デザイン / 設計 / 施工 / 厨房設備 / ブランドディレクション / グラフィック
工事前状況 : 美容室跡居抜き(残置物はナシ)
所在地 : 大阪府東大阪市
概要 :
長年ご主人と共に飲食業を営まれ、子育てがひと段落したタイミングで別事業を展開されようとする奥様のお店づくりをお手伝いさせて頂きました。
これまで家事と育児 そして事業。その全てを軌道に乗せ ようやく訪れるであろう老後迄のご褒美とも取れる時期を捧げてまでして、何故新らしい事業の展開なのか…の質問に『ここでもう一回チャレンジする背中を見せる事でもって子育ての仕上げとしたい』という旨を少し照れながら話してくれたお施主さん。
穏やかで柔らかい雰囲気からは想像出来なかったその格好良過ぎる理由に完全にノックアウトされた私。少しでもあやかりたくなって何としてもお仕事させてもらうつもりで喰らいつきました。
…なんだけどご要望を組み込んでいくと当初提示されていたご予算には全くハマらず、色々やってはみたけど “ もはやこれまでか… ” で提出した見積りに『大丈夫です!注文増やしたの私ですし!』とこれまたハンサムな解答。
“ なんなんこの人…^^; ” と軽く思いつつも救われた事を工務店さんに報告。よっしゃー!で工事を開始しました。
近くに司馬遼太郎記念館や彌榮神社、明治初期起源の東大阪市で最も古い小学校の一つである小阪小学校と同中学校、個人商店と住宅が混在する古い町、東大阪の中小阪三丁目が舞台。
そこにつくるお店の形態は『りんご飴専門店』。
ぼちぼち店舗が増えてきているその新しめの業態をこの古い町に持ってくる。
で、とにかく目立つ様に…がファーストリクエストでした。
とは言えハデハデ柄々のキャワゆい感じにしても既視感のあるモノになったりチープになるだろう事をお伝えし、“ 何でココにこんなモノが…!? ”という違和感でもって目立たせる…という提案をたちまちで採用頂き、“超”和モダン『近未来系屋台』をコンセプトにプランを開始しました。
古い町にトレンド感の強い業態が新規出店する。
この事が界隈の方々とハレーションを起こさない様、せめて町に向けてこのお店のオープンスタンスさが伝わればいいなと思い2面でテイクアウトカウンターを設けほぼシースルーに。
そこに配置した上げ下げ窓は贅沢にペアグラスをチョイス。
庇は近隣住居への日光の反射に配慮し、スチールに焼き付けたシルバーの塗装はマット(艶消し)仕上げ。
外壁はモルタルのしごき…だけど長雨や気候の影響でドス黒く仕上がってしまった為防塵クリア塗装時にモルタル色に調色。
腰壁はヘアラインのSUS貼り。
こうして色んなテクスチャーのシルバーを集結。
一方で。
角の柱は既設の構造柱の四方を桜の古材で覆い、角をそれっぽく磨いて1本の太い柱に見せています。
庇に持たす格好で暖簾を設置。屋台のソレを彷彿とさせる為にスリット無しにしています。
外部の照明器具は乳白ガラスや磁器系に絞り、建具脇の店舗サインは琺瑯をチョイス。
これらの色濃く昭和を感じさせるテクスチャ達を、サイバー感やスペーシー感のある無機質なシルバーグレーの塊に差し込む…でコンセプトを表現しました。
この強めのギャップにより、 “ 何か見た事ない感じ ” “ 得体の知れない感じ ” は仮に演出出来てたとしても、結局ここを見た人から『かわいい』や『関わりたい』という好意/興味を得ないと意味がないのでその辺の加減に留意しました。
『2001年宇宙の旅』『スタートレック』などで観る宇宙船の船内のイメージを踏襲しつつ、ここに並ぶであろうカラフルなりんご飴が一際映える様に…という思いで売場内部は白で統一しています。
イートインスペースは、今後のお店の展開に自由度を持たすという意味でコンセプトに反しない程度に癖のない部屋にし、家具と飾り付けはお施主さんチョイス。
無機質な店舗デザインに彩りを差し込んで頂いています。
元々何故か入り口建具の脇に申し訳なさそうに設置されていた街区表示板はメンテし直してお店のVIP席に。
※詳細はエイジングのページにて
解体で露出した躯体の傷みや、突然の雨漏り…それ等の補修で工事の一時中断を余儀なくされ、不可抗力とは言えお施主さんには工期面で随分我慢して頂く格好になりました。
それでも、変えれないものは受け入れるのみ…と、どっしり構えてられたお施主さんに大変救われました。
初見だったにも関わらず殆どを委ねて頂き、勘違いカモ知れないけどリスペクトを感じながら気持ち良くお仕事させて頂けました。
最後、『ほなまた次の現場で!』とりんご飴の入った紙袋を手提げながら退散する大工さん達の背中が少しアルマゲドン的に見えた事もここに綴っておきます。
私が祈らずとも成功されるタイプの方なのは承知していますが、この地でこの新業態が定着する事を切に願います。
20240227竣工
業態:りんご飴専門店
店舗の設計デザインも任せてもらったあっぷるんさん。
ロゴの作成で留意した点は
・店舗のコンセプトである『近未来系屋台』を表す事
・スウィーツ業態である以上は女性に印象の悪くないモノ
・と言っても男性やご年配も受け入れるスタンスの表現
和をベースにしつつ何となく今っぽくてオープンスタンスな雰囲気を狙いました。
落款部分にはオーナーさんのお名前を忍び込ませています。
大阪府東大阪市
Patisserie『 MARRON(マロホン)』
坪数 : 9.7坪(売り場3.5坪 厨房6.2坪)
工期 : 2.5ヶ月
ご依頼内容 : デザイン/設計 / 施工 / 厨房設備 / ブランドディレクション / グラフィック
工事前状況 : アパレル店舗跡スケルトン
所在地 : 大阪市北区同心
概要 :
20年近いご自身のキャリアの全てを洋菓子製造に捧げてこられたパティシエさん。
満を辞しての独立開業にお供させて頂きました。
webでお問い合わせ頂き、同行した現場はたまたま弊社不動産チームでお世話になっている家主さんの物件。
無理言って手付け無しで契約を引き延ばして貰っている間に内装プランと金額を確定。資金調達の目処がたって即、物件契約→着工…とお陰様でリズム良く進めさせて頂けました。
穏やかな雰囲気ながらも厨房の環境づくりに真摯に取り組まれるパティシエのご主人と、お店のブランディングにこだわる売り場担当の奥様。良いコンビだなぁと感心しつつ。
自然と明確に役割が分担されていて、完工までの報連相もスムーズにさせて頂きました。
御苗字に因んだ屋号『MARRON(フランス読みで“マロホン”)』は早々に決めておられ、続いてその栗を連想させる為のブランドカラーをフランスの伝統色と言われる『Laque(ラック)』に選定。
店舗デザインのコンセプトは、ご予算の関係上現しの躯体を活かしとする為トラディショナルとインダストリアルの融合としました。
スイーツ激戦区の大阪北区の南森町・扇町界隈で違いを見せる為に、またお施主さんご希望のイメージやその柔らかなお人柄を踏まえるとどういう表現が正しいのか…
で、本格派パティスリーを表す普遍性と新しさを感じるさせるトレンド性のバランスに配慮しました。
元々が西と南の2面開口の区画。
西陽が差さない事を確認の上、扇町筋が覗ける西側を店舗入り口 南側を厨房勝手口としました。
床・壁・天井は躯体現し後、クリア塗装。
シャッターの巻き取りシャフトが露わになった箇所はRをつけたモルタルを延長して覆っています。
売場と厨房との境界壁はキャビネットをのみ込む格好でフラットに。
木部塗装はEPの拭き取り塗装にて木目現しで着色。
焼き菓子のショーケースを兼ねたカウンターはシナ合板で構成。
ひな壇の視認性と天板の奥行きを確保しようとする事で生まれたカタチをそのままデザインとして活かしています。
ファサードの開き戸は欧州のそれみたくサンメントをあしらうかを迷いました。
結局、面材の押さえで回した枠の内にRを付けるのみとし、重さを軽減し入り易さを優先させました。
伝統と今っぽさ、重厚とカジュアル。
パティスリーやショコラティエなどを作らせてもらう際は相反するこのバランスにナーバスになります。
それが『MARRON』の場合であればどうあるべきなのか…
仕上げの最後の最後までその辺を調整しながら現場の進みを見守りました。
お施主さんの個性とイメージする顧客の人物像を踏襲しつつ、今っぽいけど伝統的で重厚ながらも入り易くてカジュアルなんだけどちゃんとしてる…みたいな具合に見えていたら自分的には狙い通りなんですが。
とにかくサジ加減がデリケートでしたが、現場が近くて救われました。
20231217竣工
格闘技スタジオ『 team KIZUNA(チーム キズナ)』
坪数 : 65.5坪(1F 32.7坪 / 2F 32.7坪)※うち施工面積34.2坪(1F 1.5坪 / 2F 32.7坪)
工期 : 2.3ヶ月
ご依頼内容 : デザイン/設計 / 施工 / 設備 / ブランドディレクション / グラフィック
工事前状況 : 工場
所在地 : 大阪府門真市ひえ島町
概要 :
現役プロ格闘家の柴田”MONKEY”有哉さんのスタジオ『team KIZUNA』。
昨今格闘技は、観るだけのモノではなく競技として参加したり自身を鍛える為だったり健康目的だったり…以前よりスポーツとして身近になりかなり裾野は広がっている様子。
たまたまキッズの教室を見学させて貰いましたが、まずその生徒数に驚き。
アットホームな雰囲気ながら『心(こころ)』を鍛える、『お子さんを預かっている』というストイックさを感じます。
親目線で言う “ とりあえず習わせといたらおかしな事にならない ” という絶対の信頼の剣道や柔道、それらと何ら変わらない神聖さ。そりゃ親御さんもココに通わせるわ… と生徒増加傾向の理由を一瞬で知らしめされました笑
大人子供や男女に関係なく増える生徒さん達を許容する為に、既存スタジオを勝手の宜しい様に改装する…が当初のプロジェクト内容でした。
プランも資金調達も見積り金額も確定させていよいよ…の頃に物件側の大人の事情で白紙に…
急遽移転を検討しないといけなくなった柴田さん達。
広さが必要だし既存の生徒さん達の事を考えると遠くへは越せないし…で難航する物件探し。
諸々の経過の連絡を頂きながら、半年後にようやく理想を絵に描いた様な転居先に巡り会われ、晴れてプロジェクトが再始動。
十分な広さを擁するその新天地に対して、予算の関係上フェーズを分けてファサードと2階、そして1階の水周りを1期工事とする事に。
床や壁のマット類などの初めて使う材料の事やトレーニング機材について色々教えて頂きながら何とか一旦、納めさせて頂きました。
令和4年の春先にお話を頂き実に足掛け1年半に渡る大引越しでしたが、やり切られたteam KIZUNA、天晴れでございました。
関西最大級となった格闘技スタジオ『team KIZUNA』。
1階のトレーニングフロアやフロントの本工事を残してはいますが、2期工事の際はまた共に汗かきましょう。
20231010竣工(一期工事)
店舗改装工事の御用命のお礼と、リニューアルオープンのお祝いとを兼ねて受け取って頂いた 立て掛け看板の第三弾。
今回はLED照明とのハイブリッドです。
杉足場材のボディーに塗り重ねたステンシル、そしてお店のシンボルをシリコンチューブライトで型取ったネオン調のアクリル板を設置。
店舗なら必須のファサードの賑やかし照明。
それがシャッターに掛かってしまう為に設置出来ない…というビハインドを解消する為に何か出来ないかな…と思案して生まれた産物です。
中華料理『来夢来人』(チュウカリョウリ ライムライト)
業態 :創作中華
坪数 :19.6坪(1F 9.8坪 / 2F 9.8坪)
工期 :3ヶ月
ご依頼内容 :デザイン / 設計 / 施工 / 厨房設備 / ブランドディレクション
工事前状況 :既存店舗のリニューアル
所在地 :大阪府豊中市中桜塚
概要 :
阪急宝塚本線の岡町駅を降りてすぐの岡町商店街に入ってこれまたすぐの好立地。
近年では珍しくシャッターは稀にしか無い 活気に満ちたその商店街にて、38年の長きに渡り愛され続けた町中華『来夢来人』。
この活気を引っ張ってきた中華の雄もその年月には勝てず激しく老朽化。
先代で35年 ご子孫が受け継いで3年、一旦ここでリセット…という事で町中華『来夢来人』の2階建て1軒屋フルリニューアルプロジェクトが発足。
ご縁を頂き そこに参画させて頂きました。
お施主さんは2代目のご主人とその奥さん。
お二人共 数年に亘りフランスにある中華店で勤務され、帰国後ご実家のお店を継承。
先代が創られた地元の太いお客さんを大切にしつつも、ご自身の経験を活かした創作中華のコースや ナチュラルワインとクラフトビールの提供に取り組まれ 新しい顧客の獲得にも成功。
その自信が今回の決断の礎(いしずえ)になってる事は確かだけど、新しくなる来夢来人を誰に向けたどういう店にしていくのか…のディスカッションに多くの時間を費やしました。
これまでを支えてくれた既存顧客、新しい提案“も”受け入れてくれた既存顧客、同じくその提案“を”受け入れてくれた新規顧客。
従来の町中華っぽさとコースの似合う少しシュッとした感じと…
客層・単価、全く異なる双方を総取りしたいのは勿論だけど、ちゃんと事業として判断をした結果…で後者にウェイトを置く事に。
でも極端に間口を狭める事はせず【 従来の中華を求めて来たお客さんに気を遣わせてしまう < コースを求めて来たお客さんに見合った満足感を得てもらう 】というトコロを狙ってデザインを進めました。
解体が進み露わになってく構造。
築6,70年は経っている木造建築は幾度かの継ぎ足し工事で増床されており、余儀なくされる構造補強。作業ボリュームは想定を上回り先ずはそこに工期を割かれてしまいました。
ファサードの角材は解体で発生したモノをリユース。
建具はラワン。嵌めガラスはノンコーキングにし、開閉時のガラガラ音を愉しみます。鏡板はウロコガルバにマットクリア塗装を掛けて曇らせています。
カウンターはよりじっくりコース料理を嗜んで貰う為にハイカウンターからローへ変更。
天井は解体後の梁/根太/垂木を現しで、ただ垂木は防塵の観点から新規を増し貼りしています。
壁はトイレも含め既存も新規もALLモルタル左官。
補強を入れたとは言え決して強くはない元の壁に対しての施工という事で、ベニヤを増し貼りした上にメッシュ下地としクラックの入りを抑えています。
天井との取り合い部は古材屋で調達した国産杉を擬似桁(けた)として設置し、現しにした梁や根太との取り合い部を見切ってスッキリ見せています。
既存の古い木造部に合わせ、新規の造作にはラワンと杉足場材をチョイス。
造作箇所によって節(ふし)が有るべきor無いべきを判断基準として、それぞれの採用箇所を決めています。
厨房。ラワンベニヤに枠を回した吊り戸棚の内部は、いつもなら…の木工造作棚は油気を考慮して中止し、厨房用のSUS製品をハメ込みました。
もちろん厨房土間も打ち直し、アイカさん責任施工のスペシャル床仕上げ。排水経路も変更しグリーストラップも交換。
トイレは少しでも広くとる為、階段下は収納を部分的なものにして残りを傾斜天井に。
設備面も数年前に交換した天吊りエアコンとトイレそして一部の厨房機器以外は新調。
物置きと化していた2階は多目的スペースへと大きく変貌。時間を掛けて深く沈み傾いてしまった床を修正し、こちらも解体で出てきた梁を現しにし、ボード内部に断熱材を仕込み、架け替えた階段部は吹き抜けにし…
その吹き抜け部周辺とフロアにはステンドグラスの作家である奥さんのお父様が富山の工房にて製作された作品を設置。アンティークの家具や内装材のチョイス含めて、2階は奥さんのディレクション。
用途的に1階とは毛色を変えたいという想いを表現して頂きました。
暑さの中、缶詰めで作業を続ける手練れ大工集団へのドリンクの差し入れはゆうに100本を超えました笑
7月頭から、お盆の休暇もそこそこに みっちりやって実に3ヶ月。
エアコンの無い中、誰も倒れず完工まで漕ぎ着けれたこの90日間は 職人さん達の体力への感心と その使命感への感謝で一杯でした。
異常な酷暑だったこの2023年の夏の日を 丸ごと捧げて遂に完成した 【 新生 来夢来人 】。
天国の先代に見守られながら、無事当初の仮説通り新旧多くの人達に愛され、名店から銘店に成っていく姿を影ながら追っていきたいと思います。
20231001竣工
cake_stand『être』(ケーキスタンドエートル)
業態 :スタンドタイプ スイーツショップ
坪数 :23.8坪(1F店舗と浴室及び中庭 16.6坪 / 2F住居 7.2坪)
工期 :2.5ヶ月
ご依頼内容 :デザイン / 設計 / 施工 / 厨房設備 / ブランドディレクション / グラフィック
工事前状況 :古民家スケルトン
所在地 :京都市下京区中堂寺櫛笥町
概要 :
在る状態をなるべく活かした作り込まない店づくりをしたい。
これがお施主さんのご要望でした。
これまでずーっとスイーツを中心に作ってこられ、フランスでの生活経験もお持ちのお施主さん。
そのご経験を活かしたお店の開業を決意して 物件を探し始めてはや数年…
改めてやっぱり開業する!というムーブに入られた際に 機会で面識を持たせて頂きました。
何軒か物件の内覧を同行した結果、やっぱり最初の物件がイイ。
だけどその家賃を捻出するには…と思案された結果 今のお住まいを引き払って職住一体とするしか方法が無いし、そうでもしないといつまで経っても開業出来ない…で ご決断。
という事で京町屋の大改装プロジェクトが動き出しました。
急勾配で華奢な階段は イイ雰囲気だけど先を考えると危ないので掛け直し、京都の冬に耐えれる様に住居側の壁には断熱材を敷き詰めまくって。
店舗共用トイレの横にはエアコン装備のサニタリー室(シャワーユニット/洗面/洗濯機)を新設。
“ ココを生涯の城にする ”というお施主さんの覚悟に応えるには
・店舗の動線の中に違和感のない生活動線を敷く
・プライバシーの確保
・永く使う事を大前提とした造作
・極力解体を控え、新設の造作は既設に対して違和感のないモノに
などに留意しながらプランを進めました。
古物に対する強いリスペクトを持ったお施主さんのご要望に応えるには、そんじょそこらの『古民家リノベ』で養った経験では通用せず、工事期間中はヴィンテージフリークだった自分を呼び起こして丁度イイ位でした。
柱・桁・梁を活かすのは元より、傷んでいた箇所や一見汚く見えてしまう様な箇所すら、どうしてもこのままでは職住に支障が出る…という部分以外は全て活かし、劣化が激しい箇所は補修してまででも活かしています。
一方、飲食店ゆえ気になる衛生面は この先々で塵を心配する必要がない様に垂木は全面新規を上貼りしています。
建具は防犯の観点からファサードのみ新規を、それ以外の全てはお施主さんチョイスの古建具。それらを改造して設置しています。
活かす活かさないの判断待ちや、活かしたいけど活かしきれない箇所の補修や補強の手段の検討時間、またその感覚を現場が理解する事の困難さから職人が機嫌を損ねたり、諸々で工事の進みが悪くなったり…で結果お施主さんを不安にさせお叱りを受けたりもしました。
図面が無効化される程の極めて感覚的でSDGsなお店創り。
それを個々の “ 普通 ” がそれぞれ違う即席チームで行う訳ですので、在る程度の代償は覚悟していましたがやっぱり難しい。
こういうお店づくりって、終わった後は “ もうやらんぞ… ” って思うんですけど またお話しがあったら やっぱりオモシロいからやっちゃうんですよね^^;
元々こうだった?職人施工?DIY?が表層では良く解らない…みたいなラインを狙ったんですけどそんな雰囲気出てますでしょうか。
※2階の住居も 新壁と天井から古梁を露出させたなかなかの新旧融合空間ですが、既に生活を開始されているので自主的に撮影は控えさせて頂きました。
20230530竣工